
インディアナ州で仮想通貨擁護法案提出:公務員年金でのETF運用を選択肢に

米国中西部に位置するインディアナ州において、暗号資産の普及と権利保護に向けた画期的な法案が提出された。この新たな動きは、州内の公務員が将来の資産形成においてビットコインなどのデジタル資産へアクセスする道を拓くと同時に、地方自治体による恣意的な規制から利用者を守ることを目的としている。カイル・ピアース州下院議員(共和党)によって主導されたこの取り組みは、単なる投資機会の提供にとどまらず、マイニングや自己管理(セルフカストディ)といったクリプトエコシステムの根幹に関わる権利を法的に位置づけようとするものである。
公務員年金へのビットコインETF導入義務化
木曜日に提出された「下院法案2014(House Bill 2014)」の核心は、公務員向けの退職金および貯蓄プログラムの改革にある。同法案は、これらのプログラムにおいて、暗号資産へのエクスポージャーを提供する上場投資信託(ETF)を投資の選択肢として利用可能にすることを義務付けている。これにより、州の公務員は自身の退職後資金の一部を、近年金融市場で存在感を増しているデジタル資産クラスへ配分することが容易になる。
2022年にインディアナ州議会に選出されたピアース氏は、声明の中で「インディアナ州は、スマートかつ責任ある方法でこの分野に関与する準備を整えるべきである」と述べた上で、この法案が「フージャー(インディアナ州民)により多くの投資選択肢を提供しつつ、適切なガードレールを設けるものである」と強調している。通常であれば1月に開会する州議会だが、再区画に関する議論のため、2026年の会期は異例ながら今週月曜日に前倒しで開始されており、法案はすでにインディアナ州下院金融機関委員会に提出されている。
決済・マイニング・自己管理の権利保護と地方規制の抑制
本法案のもう一つの重要な側面は、地方自治体による過度な介入を防ぐための保護規定である。具体的には、地方政府が暗号資産による決済利用、マイニング活動、あるいは個人が自身のデジタル資産を管理・保護する能力を「不当に」制限するような規則を導入することを禁じている。
特にマイニングに関しては詳細な規定が盛り込まれている。法案は、地方自治体が工業用地域(ゾーン)から暗号資産マイナーを締め出すことを防ぐだけでなく、住宅用地域においても「個人の住居内で行われる私的なデジタル資産マイニング」を保護対象としている。これは、産業規模のマイナーだけでなく、個人の趣味や小規模な運用を行う層にとっても重要な法的防波堤となる可能性がある。また、州政府に対して暗号資産の公的利用の可能性を評価することを求めつつ、パイロットプログラム実施の余地を残すなど、将来的な行政サービスのデジタル化も見据えた内容となっている。
他州の動向と連動する「国家戦略」の影
今回のインディアナ州の動きは、全米各地で広がりつつある暗号資産関連法案の流れの中に位置づけられるが、そのアプローチは州によって異なる。例えばニューハンプシャー州では政府自身がデジタル資産への配分を行うことを許可する法案が可決されているが、今回のインディアナ州の法案は個人の権利保護と選択肢の拡大に重きを置いている点で異なる。
今年に入り、各州の議員たちは、ドナルド・トランプ米大統領が3月に設立したビットコイン戦略的備蓄(ストラテジック・リザーブ)の要素を反映した様々な法案を提案している。ニューハンプシャー州以外にも、テキサス州やアリゾナ州などがこうした措置を採用しており、インディアナ州の法案もまた、米国全体で加速する「国家レベルでのビットコイン受容」という大きな潮流の一端を担うものと言えるだろう。
まとめ
GENAIインディアナ州で提出された今回の法案は、ビットコインを含むデジタル資産が「一般投資家・公務員の年金・地方行政」の領域に本格的に入り始めたことを示す、極めて重要なシグナルだと考えます。
これは単なる地方議会レベルの試みではなく、全米で進む“ビットコインの制度化”の流れを後押しする動きであり、将来の採用拡大に大きな意味を持ちます。
今回の法案の核心は二つあります。ひとつは、公務員などが加入する退職・貯蓄制度において、ビットコインやイーサリアムなどへ間接投資できるETFを「必ず選択肢として提供する」という点です。これまで仮想通貨は退職口座で選びにくい資産とされてきましたが、ETFの普及を背景に制度として明確に組み込むことで、一般投資家が安全にビットコインへアクセスできる環境が広がります。まさに“長期資産形成としてのビットコイン”が広く認められ始めた象徴です。
もうひとつ重要なのは、地方政府が仮想通貨の利用を不当に制限することを禁止するという内容です。支払い手段としての利用、マイニング事業、個人が自分のデジタル資産を自主管理することまで守るという設計は、極めて先進的なものと言えます。特にマイニングを住宅地域でも許可し、産業地区から排除されないようにする内容は、ソラナやリップルのようなチェーンではあまり出てこない“ビットコイン特有の議論”ですが、それを法律で保護する動きは全国的にも注目されるポイントです。
さらに、州政府自身が仮想通貨の活用方法を検討し、パイロットプログラムを実施できるようにする点も見逃せません。これは、単なる投資の自由化にとどまらず、行政サービスや支払いなどでブロックチェーン技術を試験導入する道を開くもので、チェーンリンクのようなインフラ系プロジェクトや、送金に強いリップルの採用可能性も広がる領域です。
今回のインディアナの動きは、ニューハンプシャー、テキサス、アリゾナなどが進めている「州レベルのビットコイン戦略」と軌を一にするもので、さらにエリック・トランプ氏によるビットコイン支持発言や、機関投資家・金融企業の参入拡大とも呼応している流れです。こうした法整備が進むことで、ビットコインをはじめ、イーサリアム、ソラナ、リップルといった主要プロジェクトへの社会的信頼が強化され、特に若い投資家層や長期投資家にとって参入しやすい環境が整っていきます。
総じて、今回の法案は地方発ながら、ビットコインが米国の公共制度・投資制度へ本格的に組み込まれていく転換点となる可能性があります。今後は、他州がこれに追随するか、そしてどの程度まで公共部門がデジタル資産を扱うようになるのかが、次の大きな焦点になると見ています。


