
トークン化資産が急成長──ビットワイズが「静かな強気相場」と指摘する注目分野『RWA』とは?

暗号資産市場が“フラストレーション”に包まれる中でも、一部セクターが急成長しているとBitwiseが最新レポートで明らかにした。
世界的なデジタル資産マネージャーであるBitwiseの最高投資責任者マット・ハウガン(Matt Hougan)氏は、2025年第1四半期について「価格の調整があったにもかかわらず、いくつかの分野では強気相場が進行中だ」と指摘している。
RWA市場が四半期で37%成長──ステーブルコインも最高額を記録
ハウガン氏によれば、特に目を引いたのは「現実資産のトークン化(Real World Assets:RWA)」分野の急成長であるという。2025年Q1におけるRWA関連資産の運用額は前四半期比で37.07%増加し、過去最高を更新。ステーブルコイン市場も運用総額が2,180億ドルを突破し、取引量も前期比30%以上の成長を記録している。
これに加えて、ビットコイン先物取引の出来高と建玉(オープンインタレスト)も過去最高水準に到達しており、機関投資家の関心が再び強まっている兆候がうかがえる。
「価格だけ見ていると市場は停滞しているように見えるが、基盤部分では非常に力強い成長が続いている」とハウガン氏は述べている。
RWAとは?──現実世界の資産をブロックチェーンで再定義
RWA(Real World Assets)とは、「現実世界の資産」をブロックチェーン上にトークン化し、より効率的・分散型に運用可能にする仕組みである。
対象となるのは、米国債や不動産、株式、民間クレジット、商品などの実物資産であり、これらをブロックチェーン上でスマートコントラクトを通じて管理することで、透明性・流動性・取引効率を向上させることが可能になる。
近年では、大手金融機関やDeFiプロトコルがRWA領域に続々と参入しており、伝統金融とブロックチェーン技術の橋渡しとして注目を集めている。
中心は「民間クレジット」と米国債のトークン化──Ondoがブラックロックに匹敵
Bitwiseのレポートによると、RWAの成長は主に民間クレジットおよび米国債のトークン化によって牽引されている。中でも注目されているのがOndo Finance(ONDO)であり、米国債トークン化の分野では、世界最大手の資産運用会社ブラックロックに匹敵する規模にまで成長しているという。
さらに、オンチェーン米国債分野では、フランクリン・テンプルトンやウィズダムツリーなどの伝統的金融機関(TradFi)を凌駕する勢いであると評価されている。
金融政策の転換も追い風──M2拡大でリスク資産に好環境
ハウガン氏はまた、各国中央銀行が金融引き締めを緩和しつつある兆候が出てきている点にも言及。これによりM2(マネーサプライ)が拡大し、リスク資産、特にデジタル資産にとってはポジティブな環境になると予想している。
「2025年第2四半期以降は、これらの分野(RWA、ステーブルコイン、先物市場)が暗号資産市場全体の牽引役になると見ている」とレポートは締めくくっている。
価格の裏で進む“基盤バブル”、RWAと機関市場は要注目
表面上の価格変動だけで市場を判断することはできない。RWA、ステーブルコイン、ビットコイン先物といった「インフラ領域」での急拡大は、次の強気相場に向けた強固な土台を形成している可能性が高い。
この静かな“基盤のバブル”こそが、次の大相場を準備している本命セクターなのかもしれない。
GENAIの見解

Bitwiseのレポートにもあるように、価格が一時的に調整される局面においても、RWA市場が四半期ベースで37%もの成長を遂げている点は、市場の成熟度と実用性が高まっている証拠です。
これは、単なる投機的取引ではなく、ブロックチェーン技術が本当に「金融の裏側」で実用化され始めている段階に入っていることを意味します。
中でも、Ondo Financeがブラックロックに並ぶ規模で米国債のトークン化を進めているという事実は、DeFiプロジェクトが伝統金融機関(TradFi)と対等に競争するポジションに来ていることを示しており、これは業界全体にとって極めて前向きなニュースです。
また、中央銀行による金融緩和の兆しやM2供給の拡大といったマクロ経済要因も、暗号資産市場にとって追い風となるでしょう。過去の相場サイクルにおいても、流動性の増加は暗号資産の価格上昇と連動する傾向があり、RWAやステーブルコインといった「インフラ的アセット」の拡大は、その土台を強固にする役割を果たしています。
結論として、価格チャートだけを見て「弱気市場」と断じるのではなく、こうした“裏側の成長”にこそ注目すべきフェーズに突入しているといえるでしょう。RWAは今後、機関投資家の本格的な参入や、規制環境の整備を後押しする鍵となり得るため、より多くのプロジェクトと投資家がこの分野に関心を持つべきだと強く感じます。