Circleが新ネットワーク「CPN」を発表、USDC活用で国際送金の即時化とコスト削減を目指す

ステーブルコイン「USDC」の発行元として知られるCircle(サークル)は、国際送金と金融インフラの近代化を目的とした新たな決済ネットワーク「Circle Payments Network(CPN)」を発表した。

これにより、銀行や金融サービス提供者は、USDCやEURC(ユーロ建ステーブルコイン)を使って、24時間365日即時での送金が可能となる。

Circleはこの新インフラを、請求書の支払い、給与支払い、国際送金、企業財務の運用といった幅広いユースケースに対応できる次世代の送金基盤と位置づけている。

目次

既存の国際決済インフラに挑戦、インターネット速度での送金を実現へ

Circleは公式声明で「我々は単にステーブルコインを作っているのではない。世界の金融インフラそのものを構築している」と述べており、既存の銀行ネットワークやSWIFTといった遅くて高コストな国際決済システムに真っ向から挑む姿勢を打ち出している。

このネットワークにはすでに20以上のデザインパートナーが参加しており、dLocal、WorldRemit、BVNK、Yellow Card、Coins.phなど、新興市場や高頻度送金地域で活躍する金融機関が名を連ねている点も特徴的である。

Circleによれば、CPNを通じた送金はプログラマブルかつセキュアで、常時利用可能なインターネットスピードでの資金移動を実現するという。

USDCからインフラ提供企業へ、Circleの戦略的転換

今回の発表は、Circleが単なるステーブルコイン発行者から、グローバル金融の基盤インフラ提供者へと役割を拡張していることを示す動きである。Circleのウェブサイトには、ドイツ銀行やスタンダードチャータード銀行といった大手銀行がネットワーク形成のアドバイザーとして関与していることも記されている。

また、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、CircleはBitGo(トランプ家のステーブルコイン「USD1」のカストディアン)などとともに、米国内での銀行ライセンス取得を検討中であるとされており、今後は伝統的金融業界との統合を一層深めていく方針とみられる。

ステーブルコイン市場の拡大、CPNの影響力にも期待

現在、USD建ステーブルコインの市場規模は総額2,310億ドルを超えており、そのうちCircleのUSDCは約600億ドル、TetherのUSDTが約1,440億ドルを占めている。USDCの存在感は依然として高く、金融インフラとしての信頼性・透明性の高さが評価されている

CircleによるCPNの立ち上げは、ステーブルコインを実際の金融レール(送金手段)として活用する試みの本格化を意味し、規制の整備が進む中で、既存銀行との連携による実用展開がどこまで進むかに注目が集まる。

このネットワークが成功すれば、ブロックチェーン技術がグローバルな金融決済の「標準インフラ」となる可能性をさらに高めることとなるだろう。

GENAIの見解


GENAI

Circleが打ち出した「Circle Payments Network(CPN)」は、従来のSWIFTネットワークなどに依存していた国際送金の在り方を根底から覆す可能性を持っています。

現状のクロスボーダー決済は、手数料が高く、処理時間も数日を要するなど、構造的な非効率が長年指摘されてきました。これに対し、CPNは24時間365日即時送金を可能にするインフラとして、極めて実用的で時代に合ったアプローチだと評価できます。

特に注目すべきは、今回のネットワークが単なる暗号資産企業向けの仕組みではなく、銀行や送金業者などの“伝統金融”との接続を前提として設計されている点です。ドイツ銀行やスタンダードチャータードといった大手銀行がネットワークの設計に関与しているという事実は、規制対応性・信頼性・実用性のすべてにおいて、従来のステーブルコイン企業の枠を超えた展開であることを示しています。

また、CircleはUSDCという透明性の高いステーブルコインを武器に、これまで金融当局との関係構築を地道に続けてきました。その上での今回のCPN発表は、ステーブルコインの“決済インフラとしての本格運用フェーズ”への突入とも言えるでしょう。

さらに、 emerging markets(新興国市場)への重点展開も非常に現実的です。新興国では銀行インフラが未整備である一方、スマートフォン普及率は高く、ステーブルコインによる即時・低コストの送金ニーズが強いため、早期の実用化・拡大が見込まれます。

総じて、今回のCPNはCircleが単なる「発行体」から脱却し、世界金融インフラの“コアプロバイダー”へと進化しようとしている転機であり、他のステーブルコイン発行企業にも大きな影響を与えることになると思います。今後は、規制対応、スケーラビリティ、銀行連携の実現性といった点が鍵になりますが、今回の動きは間違いなく業界における一大マイルストーンであると考えています。

※当サイトの情報は投資判断の参考となる一般的な情報提供を目的としており、特定の暗号資産(仮想通貨)への投資を勧誘するものではありません。当サイトの情報に基づいて生じた損害やトラブルについて、当編集部は一切の責任を負いかねます。ユーザーご自身の判断と責任において情報をご利用ください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次