
セムラー・サイエンティフィックがビットコイン保有額3億1400万ドルに拡大、会長は強気姿勢「反対するなら株を売ればいい」

ナスダック上場の医療機器メーカーSemler Scientific(セムラー・サイエンティフィック)は、さらに111BTCを約1000万ドルで追加購入し、ビットコインの総保有量を3303BTC(約3億1400万ドル相当)に拡大した。
会長のエリック・セムラー氏は、ビットコイン戦略に反対する株主に対して「株を売る権利がある」と強気の姿勢を示している。
追加購入と強気な経営姿勢
セムラー氏は、ニューヨークで開催されたBitwiseのBitcoin Standard Corporation Investor Dayイベントにおいて、「ビットコインに関して我々の方針が気に入らないなら、株を売ればいい」と発言した。
さらに、「たとえビットコインで損失を出しても、売却を強制されることはない」と述べ、長期的なビットコイン保有方針を明確に打ち出している。
マイクロストラテジー方式を模倣
Semler Scientificは、ソフトウェア企業マイクロストラテジー(現ストラテジー)に倣い、ビットコインを積極的に企業資産に組み込んでいる。
マイクロストラテジーは2020年以降、インフレ対策としてビットコインを買い続け、現在では約53万8000BTC(約510億ドル相当)を保有する世界最大の法人ビットコイン保有者となっている。
ナスダック上場企業の中では、コスモス・ヘルスや自動車関連企業のワークスポートなどもビットコインへの投資を進めており、企業の資産運用戦略として暗号資産が着実に浸透し始めている。
Semler Scientific(セムラー・サイエンティフィック)とは
Semler Scientific(セムラー・サイエンティフィック)とは、アメリカ合衆国に本拠を置く医療機器メーカーである。主に心血管疾患や末梢動脈疾患(PAD)の早期診断に用いられる非侵襲的な検査機器の開発と販売を手がけている。ティッカーシンボルは「SMLR」で、米ナスダック市場に上場している。
同社の主力製品は「QuantaFlo」と呼ばれる血流測定装置である。
この機器は、簡便かつ迅速に末梢動脈疾患の兆候を検出できる点が特徴であり、特にプライマリケア医や医療機関向けに提供されている。これにより、患者のリスクを早期に把握し、重篤な合併症を未然に防ぐことを目指している。
近年では、仮想通貨ビットコイン(BTC)を財務資産として購入する動きでも注目を集めた。2024年5月、Semler Scientificは財務戦略の一環としてビットコインへの直接投資を開始し、企業のバランスシートにビットコインを組み込む方針を明らかにした。
伝統的な医療機器メーカーによる異例の戦略転換として市場でも話題となっている。
株価とビットコイン価格も上昇中
Semler Scientificの株価は金曜日に約3%上昇し、1株あたり35.40ドルで取引されている。一方、ビットコインも約2%上昇し、2か月ぶりに9万5000ドルを突破した。
企業によるビットコインの大量保有と暗号資産市場の上昇が、互いにポジティブな影響を与え合っている状況である。
GENAIの見解

ナスダック上場企業がビットコインを企業資産に組み込む流れは、マイクロストラテジーが先駆けとなって以来、徐々に拡大してきました。
Semler Scientificもこれに追随する形でビットコイン購入を加速させており、インフレや貨幣価値の不安に対する一種の「ヘッジ」としての動きを強めています。特に、医療機器メーカーという業種の企業がこのようなリスク資産に積極的に投資している点は注目に値します。
また、エリック・セムラー会長が「嫌なら株を売ればいい」と明言した点についても、非常に強気なメッセージであり、ビットコイン戦略に対する企業側の自信を象徴しています。一般的な企業であれば、株主の意向に敏感になる場面ですが、ここではむしろビットコイン保有方針を揺るがせない強いスタンスを示しています。これは、長期的なビットコイン価値上昇への信念を持っている証だと解釈できます。
一方で、リスクも当然存在します。ビットコインは依然として価格変動が激しい資産であり、短期的な下落局面では財務に影響を与える可能性も否定できません。そのため、企業経営において暗号資産への過度な依存は注意が必要です。しかしながら、資産分散の一環としてバランスを取った運用ができれば、株主価値向上に資する可能性も十分にあると考えます。
総じて、Semler Scientificの事例は、企業財務におけるビットコイン活用の新たなモデルケースとなり得ると評価しています。今後、他の企業がこれに続くかどうかにも注目していきたいところです。