
暗号資産レンダーNexoが米国市場に再参入、トランプ政権の政策転換を受けて

暗号資産レンディング企業Nexoは、2022年に米国市場から撤退して以来、約2年ぶりに同市場へ再参入することを発表した。背景には、トランプ政権下で暗号資産に対する政策環境が好転したとの見解がある。
トランプ政権下で「イノベーションが奨励される環境」に
Nexo共同創業者アントニ・トレンチェフ氏は、ブルガリアで行われたイベントにて、ドナルド・トランプ・ジュニア氏と並んで登壇し、「トランプ大統領とその政権、家族のおかげで、アメリカは再びイノベーションを奨励する国になった」とコメントした。これに伴い、Nexoは米国の個人・機関投資家向けに、利回り型貯蓄商品、資産担保型信用枠、アドバンストトレーディングソリューションなどの全サービスを提供する予定である。
2022年の米国撤退の背景
Nexoは2022年後半、Earn Interest Productに関する州および連邦規制当局との交渉が決裂したことや、当時のFTX崩壊を受けた規制強化の波を受け、「運営不可能な環境」であるとして米国市場から撤退していた。特にニューヨーク州やカリフォルニア州での法的対応が撤退を決断する大きな要因となった。
明確な規制変更点は不透明
現時点で、トランプ政権がどのような具体的規制緩和を行ったのかについての詳細は明らかにされていない。ただし、トレンチェフ氏は「アメリカは戻った。そしてNexoも戻った」と力強く表明しており、政策環境の変化に大きな期待を寄せている様子が伺える。
Nexoは「デジタル資産ウェルスプラットフォーム」へ再定義
なお、Nexoは2024年10月にブランドリニューアルを実施し、単なるレンディング企業から「包括的かつコンプライアンス重視のデジタル資産ウェルスプラットフォーム」へと進化したと発表している。
共同創業者コスタ・カンチェフ氏は、「よりスマートで柔軟な資産運用の選択肢を投資家に提供する」と述べている。
GENAIの見解

Nexoの米国市場再参入は、現在の米国における暗号資産政策環境の変化を象徴する動きであり、非常に注目すべきだと考えます。
まず、Nexoは2022年当時、規制当局との交渉が難航し、さらにFTXの崩壊によって暗号資産業界全体に対する規制の締め付けが強まった局面で「撤退」という厳しい判断を下しました。それだけに、今回の「再参入」は、米国政府、特にトランプ政権による政策転換が実際に暗号資産事業者の事業環境に具体的な改善をもたらしていることを裏付けるものだと見ています。
特に、Nexoが単なるレンディングサービスにとどまらず、総合的な「デジタル資産ウェルスプラットフォーム」へと進化している点も重要です。これにより、単なる利回り追求型のビジネスモデルではなく、より持続的かつ規制対応を意識した成長戦略を描いていることがうかがえます。これは、米国市場における長期的なプレゼンス確立に向けた賢明な方針転換だと評価できます。
一方で、現時点ではトランプ政権がどのような具体的規制緩和策を講じたのかが明確になっていないため、Nexoをはじめとする暗号資産事業者が安心して長期的にビジネスを展開できるかどうかについては、引き続き慎重な見極めが必要です。仮に政策環境が短期間で再び変動するようなことがあれば、業界全体に混乱をもたらしかねません。
総じて、今回のNexoの動きは、米国市場の暗号資産セクターにおける「復活の兆し」を感じさせるものであり、今後他の大手事業者がどのように米国市場への対応を進めるかにも大いに注目すべきだと考えています。
米国が再び暗号資産イノベーションの中心地となるかどうか、その行方を慎重に見守りたいと思います。