
欧州ネオバンク「Bunq」、Krakenと提携し暗号資産サービス提供開始

オランダ拠点のネオバンク「Bunq(バンク)」が、米国の暗号資産取引所Krakenと提携し、ユーザー向けに暗号資産投資サービスを開始した。これにより、欧州17カ国のユーザーが300以上のデジタル資産にアクセスできるようになる。
6カ国でローンチ、300種以上のデジタル資産に対応
今回のサービスは、フランス、アイルランド、イタリア、スペインなど6カ国のユーザーを対象に展開される。ユーザーは、Bunqのアプリ内から直接、Krakenのプラットフォームを介して暗号資産への投資が可能となる。
Bunqは、2024年時点でユーザー預金額が80億ドルに達しており、欧州全体で1,700万人以上の顧客基盤を有している。
デジタルノマドに支持される「完全デジタル型銀行」
Bunqは、実店舗を持たない完全デジタル型のネオバンクであり、特に世界中を移動しながら働くデジタルノマド層に人気が高い。2022年にはベルギーのフィンテック企業Tricountを買収し、EU圏内で2番目に大きなネオバンクとなった。
Krakenも株式取引市場に進出
Krakenにとっても今回の提携は追い風となる。現在、世界中で1,300万人のユーザーを抱えるKrakenは、来年の米国上場を視野に入れており、Bunq経由で新たな顧客基盤を拡大できる可能性がある。
なお、Krakenは最近、米国ユーザー向けに株式やETFの無手数料取引サービスも発表している。
規制リスクの後退も背景に
Krakenは先月、米国証券取引委員会(SEC)との訴訟が正式に取り下げられたことも発表しており、暗号資産業界に対する規制リスクが一部後退したことも、今回の事業拡大の追い風となっている。
GENAIの見解

BunqとKrakenの提携による暗号資産サービスの開始は、伝統的な金融サービスと暗号資産業界との橋渡しをさらに加速させる重要な動きだと考えます。
まず、Bunqは欧州圏で急成長しているデジタルバンクの一つであり、特にデジタルノマド層など、従来型の銀行サービスに依存しない新しいライフスタイル層を中心に強い支持を得ています。このような柔軟性と機動性を重視する顧客基盤に対して、暗号資産への簡便なアクセス手段を提供することは、非常に理にかなった戦略だと評価しています。
また、KrakenがBunqのバックエンドに入る形を取った点も注目すべきです。ユーザーはBunqのアプリ内から直接暗号資産に投資できる一方で、実際の取引インフラやカストディはKrakenが担うため、技術的にもセキュリティ的にも高水準のサービス提供が期待できます。このモデルは、暗号資産に馴染みのない新規層にとって非常に利用しやすい設計だと感じます。
さらに、Kraken自身も来年の米国上場を目指しており、Bunq経由でのユーザー拡大は上場に向けた重要な成長ストーリーの一部となるでしょう。SECとの訴訟問題も解決したタイミングであるため、規制リスクの低下という観点からも非常に良いタイミングでの発表だったと思われます。
総じて、今回の提携は「銀行と暗号資産の融合」という大きな潮流を象徴する事例であり、今後同様の動きが欧州だけでなく世界中で広がる可能性が高いと見ています。金融と暗号資産の垣根がますます低くなる中で、どれだけユーザー体験を高められるかが今後の成長の鍵になるでしょう。