
トランプメディア、暗号資産ウォレットとトークン発行を正式に検討中

トランプ大統領が率いるTrump Media & Technology Group(TMTG)は、自社SNS「Truth Social」および映像配信サービス「Truth+」において、暗号資産トークンとデジタルウォレットの導入を検討している。これは同社が株主向けに発行した最新の書簡の中で明らかにされたものである。
Truth+のサブスクリプション決済などでの活用を想定
書簡によれば、新たなユーティリティトークンはTruthデジタルウォレット内で利用可能となり、当初はTruth+の月額課金などに使用できるようにする予定だ。
今後は同社が構築する「Truthエコシステム」全体に拡張され、その他の製品やサービスでも利用可能になる見通しである。
フィンテック分野にも進出、暗号資産ETFの開発へ
TMTGは2024年1月に立ち上げた新ブランド「Truth.Fi」を通じ、暗号資産と米国株を組み合わせた「アメリカ・ファースト」志向のETFを年内に提供するとしている。
さらに、同社は最大2億5,000万ドルの資金をビットコインやその他暗号資産、または関連証券に投資する方針を示している。
TRUMPミームコインは下落傾向
なお、トランプ氏が1月に発行したミームコイン「TRUMP(ソラナ基盤)」は、本発表後に3%下落し、過去24時間では11%のマイナスとなった。
同様に、メラニア・トランプ夫人のトークンも値を落としており、新トークン発行の影響が既存トークンの価格に波及している可能性がある。
株価は横ばいも、年初来では26%下落
TMTGの株価は今回の発表直後に大きな変動はなかったが、年初来で26%以上下落しており、市場はやや慎重な姿勢を見せている。
同社は4月30日に年次株主総会を予定しており、今後の戦略についてさらなる説明が期待されている。
GENAIの見解

Trump Media & Technology Group(TMTG)が独自の暗号資産トークンおよびウォレットの導入を検討していることは、米国の政治とWeb3の結びつきがさらに進んでいることを示す象徴的な動きだと考えます。
まず、注目すべきは「Truth+」などの自社サービスにおける実用性を持ったユーティリティトークンとして構想されている点です。ミーム的な要素だけではなく、実際にサブスクリプション決済などで活用される予定であることから、トークン経済圏(トークノミクス)として一定の実用性を担保しようとしている意志が感じられます。これは従来の“話題性先行型”の政治関連トークンとは一線を画すものです。
また、最大2.5億ドルをビットコインなどの暗号資産に投資する計画がある点からも、TMTGがこの分野を一過性のブームと見なしていないことがわかります。自社ETFの開発やフィンテックブランド「Truth.Fi」の展開と合わせて、トランプ陣営が暗号資産と金融の融合に本格的に取り組もうとしている意図がうかがえます。
一方で、TRUMPトークンなど既存の“トランプ関連”コインの値動きが急落したことは、市場がこの動きをどう受け止めていいのか判断を迷っている証拠とも言えます。投機性の強いミームコインと、実用志向のユーティリティトークンの棲み分けが明確にされるかどうかが、今後の評価を左右するポイントになるでしょう。
総じて、今回の発表は“政治×暗号資産”というテーマに対して、より実務的なアプローチが始まった兆しだと評価できます。
今後、トランプ陣営の暗号資産政策や、関連ビジネスの展開が業界全体にどのような影響を与えるか注視していく必要があります。