
ブテリン氏、2025年のイーサリアム開発ビジョンを発表|ネットワークの独自アドレス数は過去最高に

イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏が、自身の2025年における開発優先事項を明らかにした。これには、シングルスロットファイナリティの実現、ステートレス化、プライバシーの強化、分散型インフラの整備などが含まれている。
この発表は、イーサリアムネットワークのユニークアドレス数が過去最高を記録したタイミングで行われた。データ分析プラットフォームGrowThePieによると、過去1週間でイーサリアムエコシステムと相互作用したユニークアドレス数は1540万を超え、そのうち1345万がレイヤー2ネットワーク上での活動であった。
2025年の注力分野:スケーラビリティとプライバシー
4月30日にブテリン氏がブロックチェーンベースのSNS「Farcaster」上に投稿した内容によれば、同氏は2025年、シングルスロットファイナリティの実現に向けた研究を進める予定である。この機能は、ブロックを1スロット(約12秒)でファイナライズ(最終確定)するものであり、トランザクションの確定時間を大幅に短縮する効果がある。
また、イーサリアムのステートレス化も大きな目標とされている。これは、各ノードが全アカウント情報やコントラクトの状態を保持するのではなく、各トランザクションごとに必要な状態データ(ウィットネス)を添付する方式であり、スケーラビリティと分散性の向上が期待されている。
セキュリティ、分散性、プライバシー
ブテリン氏はさらに、フロントエンドおよびバックエンドのセキュリティ強化、分散性の維持、そして中央集権的な仲介者を排除したプライバシー重視のユーザー体験の実現も重要課題として挙げている。これらの目標は、クライアントソフトウェアやサードパーティウォレットなどにも適用されるべきだとしている。
ソーシャルレイヤーと情報共有への関与
プロトコルレベルの改善に加え、同氏はイーサリアムの「ソーシャルレイヤー」の発展にも力を入れていくと述べている。これには、分散型ガバナンス、リソース管理、オープンソース開発への資金配分、さらに暗号化メッセージングやドキュメント整備といった情報共有基盤の強化も含まれる。
そのほか、ブテリン氏は新たな予測市場の構築やコミュニケーションツールの開発、さらには暗号学、オペレーティングシステム、ハードウェア、物理インフラ、生物学的セキュリティといった下層技術への関心も示している。
なお、同氏が直接関与していない開発領域として、ガスリミットの引き上げ(短期的なスケーラビリティ対策)や、ピアツーピア通信の改善などがあるとされている。
GENAIの見解

ヴィタリック・ブテリン氏が示した開発ビジョンは、単なるパフォーマンス向上にとどまらず、分散性、セキュリティ、プライバシー、ユーザー体験といったブロックチェーンが抱える本質的な課題に正面から取り組む内容であり、極めて意義深いものです。
特に注目すべきは、シングルスロットファイナリティの研究です。これは、トランザクションがわずか数秒で最終確定することを意味し、金融取引やゲーム、オンチェーンアプリケーション全般においてUX(ユーザー体験)の大幅な向上をもたらします。加えて、ステートレス化の取り組みは、ノードの軽量化によって参加ハードルを下げ、ネットワークのさらなる分散化を促す重要なステップになると考えています。
プライバシー保護の強化についても、規制強化の流れや一般利用者の意識の変化を先取りしたアプローチだと感じます。ZKロールアップや暗号技術の活用によって、透明性と匿名性のバランスをどう取るかは、これからのWeb3時代における最大の技術課題の一つです。
また、プロトコル開発だけでなく、メッセージングや予測市場、分散型ガバナンスといった社会的側面への関与も示されており、これはEthereumが単なる技術基盤ではなく、社会的・経済的インフラとしての役割を果たすというブテリン氏の理念が反映されていると見ています。
総じて、イーサリアムは今後も「技術革新」と「理念主導」の両輪で成長していくであろうと確信しています。そしてそれこそが、他のL1チェーンと一線を画す最大の強みであると考えます。