テザーのUSDT、時価総額1500億ドルを突破──米国市場再参入に向けた動きも本格化

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世界のステーブルコイン市場で61パーセントのシェアを維持

最大手ステーブルコイン「USDT(テザー)」の時価総額が5月12日、初めて1500億ドルを突破した。これはステーブルコイン全体の約61パーセントにあたる供給シェアを占めており、同分野で圧倒的な存在感を誇っている。

USDTの流通供給量は過去1年間で36パーセント以上増加しており、2023年11月のトランプ大統領再選以降はその増加ペースが加速しているとされる。

現在、ステーブルコイン市場においては、Circle社のUSDCが約25パーセントのシェアで2位につけており、USDTの優位性が引き続き際立っている。

ステーブルコイン需要の拡大が鮮明に

テザーは仮想通貨市場における流動性供給や取引資金として中心的役割を果たしており、その供給拡大は市場全体の需要拡大を映すバロメーターとされている。

実際、Dune AnalyticsやArtemisのデータによれば、アクティブなステーブルコインウォレット数は過去1年で1960万件から3000万件へと、50パーセント以上増加している。

この背景には、ドル連動型の安定通貨への信頼性が高まっていることに加え、取引手段や資産保全の用途としての活用が広がっている現状がある。

テザー、米国市場に向けた「新しいUSDT」を計画中

グローバル市場での拡大が続く一方、テザーは米国内での利用に制限を受けており、現行のUSDTは米国では広範に利用されていない。

この状況を踏まえ、テザー社は2024年後半にも、米国市場専用の新たなドル連動ステーブルコインを投入する方針を明らかにしている。

テザー社CEOのパオロ・アルドイノ氏は、アラブ首長国連邦ドバイで開催されたToken2049カンファレンスのサイドラインで、「国際向けのステーブルコインとは異なる、米国内に特化した新製品を検討している」と述べた。

ワシントンでのロビー活動と、法案を巡る議論も活発に

CNBCの報道によれば、テザー社は現在、ワシントンD.C.でのロビー活動を強化しており、特に「STABLE法案」などのステーブルコイン規制関連法案に注目している。

この法案は、下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル委員長とデジタル資産小委員会のブライアン・スティール議長によって提出されたもので、州ライセンス発行体への規制強化を目指している。

ただし、同法案に対しては懐疑的な声もあり、米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長ティモシー・マサッド氏は、連邦による監視体制が不十分であり「規制の抜け道を残しかねない」と警鐘を鳴らしている。

GENAIの見解


GENAI

USDTの時価総額が1500億ドルを突破したことは、単なる数字の達成ではなく、「市場における信頼性と需要の高さ」が明確に反映された結果です。

特に注目すべきは、USDTが依然としてステーブルコイン市場の約61パーセントを占めているという圧倒的なシェアです。これは、取引所での流動性確保、国際送金、DeFi運用など、さまざまな場面でUSDTが不可欠なインフラとして機能していることを物語っています。加えて、過去1年でウォレット数が50パーセント以上増加しているというデータからも、個人・法人を問わずステーブルコインの実用性が浸透してきていることがうかがえます。

さらに、テザー社が米国市場に向けて新たなUSDTの展開を計画している点は、非常に戦略的な動きです。米国では依然として規制の不透明性が存在しますが、テザーが積極的にロビー活動を行い、新たな国内向けステーブルコインを準備していることは、今後の法整備と市場拡大を見据えた布石として評価できます。

一方で、STABLE法案を巡る議論や批判も示すように、規制環境は依然として流動的です。州ごとの基準のばらつきや連邦の監視体制の不備が課題として指摘されており、これがテザーの米国展開にとってリスク要因となり得ることも事実です。

総じて、USDTの1500億ドル突破と米国市場への再参入構想は、ステーブルコインの役割が今後さらに「国際的かつ制度的な金融インフラ」へと進化する兆候であり、他の発行体や規制当局にも大きな影響を与える可能性があると見ています。

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