
ビットコインETFの資金流入が過去最高に──累計410億ドルを突破、リスク選好回復で勢い増す

米国で上場するビットコイン現物ETFへの資金流入が累計で410億ドルを突破し、過去最高水準に到達したことが明らかとなった。英Farside Investorsの最新データによれば、5月13日時点での総流入額は411億ドルを超えており、年初からの急速な成長を象徴する数字となっている。
この流入ラッシュは、ETF市場における歴史的な転換点とも言える。2024年1月に米証券取引委員会(SEC)が初めてビットコイン現物ETFの取引を承認して以降、機関投資家を中心に新たな資金が市場に流入している。
トランプ大統領の貿易政策で一時撤退も、リスク回復で再加速
注目すべきは、2月から4月にかけてトランプ大統領の関税強硬策により市場が一時リスクオフムードとなり、ETFから資金が大幅に流出した期間があったことだ。この間、ビットコインは1月の史上最高値108,000ドルから75,000ドルまで急落し、ETFも「最悪の日」を経験した。
しかしその後、トランプ政権が関税政策のトーンを軟化させたことで市場心理が改善。ビットコイン価格の回復とともに、再びETFへの資金流入が加速している。
ETF.comのシニアアナリスト、スミット・ロイ氏は、「ETFは現在、投資家がビットコインにアクセスする主な手段の1つとなっている」と語っており、価格調整局面を「絶好の買い増し機会」と捉える動きがあったことを指摘している。
ETFは「資金流入」が最重要指標
ブルームバーグのETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏も、X上で「ファンドの成功を見る上で最も重要なのはネット流入だ」と述べ、「“世界が終わる”と騒がれたあの局面を乗り越え、資金が再び戻ってきたのは驚異的だ」と高く評価している。
ビットコイン現物ETFは、S&P500やゴールドなどに投資するETFと同様に、証券取引所で売買できる金融商品として個人・機関投資家の双方に受け入れられている。これまで10年以上にわたりSECが承認を拒否していたが、2024年に入って方針を転換。イーサリアムETFも昨夏に続き、現在はその他アルトコインETFの承認に向けた動きも活発化している。
現在、ビットコインは約104,260ドルで取引されており、1月の過去最高値からわずか4パーセント下に位置している。今後、ETF市場の拡大とともにさらなる上昇の余地があるとの見方も強まっている。
GENAIの見解

このニュースは、ビットコインが伝統的な金融商品として本格的に認知され、ETFを通じて広範な投資家層に受け入れられつつあることを如実に示しています。
累計流入額がわずか4ヶ月で410億ドルを超えたという事実は、機関投資家を中心とした資金がいかにこの新しい資産クラスに真剣に注目しているかを表しており、極めてポジティブな動きだと評価しています。
注目すべきは、2月から3月にかけて一時的に流出が続いたにもかかわらず、短期間でそれを取り戻し、さらに過去最高を更新した点です。これは単なる投機的な回復ではなく、ETFという「規制された、アクセスしやすい」仕組みを通じて、投資家が価格調整を戦略的な買い場と捉えたことを意味しています。つまり、現在の市場には明確なロングタームの視点が存在しているということです。
また、ビットコインETFが金融インフラとして定着しつつある今、投資家にとっての「信頼性のある資産」へと進化しつつあることも見逃せません。特にSECの承認を経て、米国市場で正式に取引可能となったことは、機関投資家の参入障壁を大きく下げました。これが流入増加の最大要因の一つであり、今後はイーサリアムETFや他の暗号資産ETFの展開も、資産クラス全体の流動性を押し上げる起爆剤になるでしょう。
最後に、今のビットコイン価格は過去最高値から4%程度の位置にありますが、これまでのような極端なボラティリティよりも、安定した価格推移と制度整備が支える資金流入によって、より成熟したマーケットに変化してきていると感じています。短期的な値動きよりも、ETFを通じた構造的な買い支えの存在こそが、次の強気相場を長期的に支える本質的な要因になると考えます。