
JPモルガン、初のパブリックブロックチェーン決済──ChainlinkとOndoで米国債をトークン化

Web3領域での実用化フェーズへ、金融機関による本格導入の兆し
米大手金融機関JPモルガン・チェースは、パブリックブロックチェーン上での初のトークン化米国債決済取引を完了したと発表した。今回の取引は、トークン化プラットフォームOndo Financeを通じて実施され、Chainlinkのクロスチェーン接続プロトコルを用いることで、プライベートネットワークとパブリックブロックチェーンの接続を実現した。
この試験運用は、JPモルガンが開発を進める分散型金融(DeFi)統合プラットフォーム「Kinexys(キネクシス)」の一環として行われたものであり、同社のWeb3領域への取り組みが新たな段階に入ったことを示している。
Ondo FinanceのCEOであるネイサン・オールマン氏は、「今回の初取引は単なるマイルストーンではなく、今後の金融の在り方を示すものだ」とコメントしている。
「実証」から「実用」へ──Chainlinkが支える大規模実装の可能性
Chainlink Labsのトークン化責任者であるコリン・カニンガム氏は、「これは、グローバル銀行が中核的な決済インフラを初めてパブリックブロックチェーンに接続した歴史的な瞬間だ」と述べ、次のように付け加えた。
「この取引は、米国債のような実世界資産がパブリックチェーンとプライベートチェーンの間をシームレスに移動できる未来への土台である。」
JPモルガンの既存の決済インフラはすでに実績ある大規模システムであり、それがブロックチェーンと接続されたことは、単なる実験を超えて商用導入のモデルケースとなる可能性が高い。
トークン化資産への機関投資家の関心が急上昇
DeFi Llamaのデータによれば、ブロックチェーン上でのRWA(実世界資産)のロック総額はすでに120億ドルを超えており、80以上のDeFiプラットフォームに分散されている。BlackRockが運用するUSD Institutional Digital Liquidity Fundも約30億ドルの資産を保有しており、過去1ヶ月で19パーセントの増加を記録している。
このような背景の中、今回のJPモルガンの動きは、金融大手がRWAトークン化の本格展開に向けて実際に手を動かし始めたことを明確に示している。
Kinexysとは何か?──2兆ドル規模の基盤構築へ
JPモルガンは2019年からブロックチェーン技術の活用に取り組んでおり、当初は「JPM Coin」としてプライベートチェーンを立ち上げた。後に「Kinexys」と改名され、現在では1日あたり20億ドルの取引処理を行い、1.5兆ドル規模のデリバティブ資産を支えるインフラへと成長している。
Kinexysは、24時間365日対応のリアルタイム決済や、国際送金の効率化、取引コストの削減などを目指して設計された分散型プラットフォームである。
Web3への金融機関の参入が加速
今月初旬にはシティグループも、SDXとの提携により非上場企業の株式をトークン化するプロジェクトを発表しており、大手金融機関によるWeb3・トークン化市場への関与はますます活発化している。
今回のJPモルガンの事例は、単なる技術実証(PoC)ではなく、グローバル規模での商用展開への“第一歩”として評価できる。今後のKinexysの進展と、他行による追随にも注目が集まる。
GENAIの見解

このニュースは、トークン化された実世界資産(RWA)の実用化に向けて、金融の中枢にいるJPモルガンが明確な一歩を踏み出した非常に画期的な出来事だと考えます。
特に注目すべき点は、今回の取引が単なる試験ではなく、既存の大規模決済インフラをパブリックブロックチェーンと直接接続した「商用ベースのモデル」であったことです。
Chainlinkを介してプライベートチェーンとパブリックチェーンを接続し、Ondo Finance上で米国債をトークン化して決済するという構造は、ブロックチェーン技術がいよいよ既存金融の「本流」に組み込まれつつあることを示しています。これまで多くの金融機関がトークン化を理論的には評価しながらも、実用面では様子見を続けてきた中で、JPモルガンのような巨大銀行が実際にパブリックチェーンで取引を完了したという事実は、非常に大きな転換点だと言えるでしょう。
また、Kinexysというプラットフォームを軸に、すでに日々20億ドル規模の決済を処理し、1.5兆ドル相当のデリバティブを支える体制がある中で、これをWeb3に接続していく取り組みは、単なるWeb3実証実験ではなく「制度設計レベルのインフラ実装」に向けた動きとして極めて意義深いです。
今後、このようなRWAのオンチェーン化が進めば、国債、社債、不動産、さらにはコモディティなどもブロックチェーン上で24時間365日取引される未来が現実味を帯びてきます。その先駆けとして、JPモルガンの今回の動きは、Web3と伝統金融の統合が現実のものになりつつあることを世界に示したものだと評価しています。今後、他の金融機関の動きにも注目が集まるでしょう。