
仮想通貨のライトニングネットワークとは?概要や対応ウォレットについてわかりやすく解説!

プロトレーダー Trader Zのイチ押しポイント!
- ライイトニングネットワークとは、ビットコインの「即時決済・低手数料」を実現するレイヤー2技術
- レイヤー2技術とは、ブロックチェーン外で処理を行い、スケーラビリティを高める仕組み
- スケーラビリティ問題とは、大規模な取引量に対応出来ず、送金の遅延や手数料の高騰が生じる課題
- ビットコインを決済など日常生活で当たり前に使える電子現金にするための技術
- エルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用し、ライトニングを使った送金を推奨
- 世界最大級の取引所バイナンスなどがライトニングネットワークでの入出金をサポート開始
- Twitter(現X)の創業者であるジャック・ドーシー氏がライトニングネットワークを推進
- ライトニングネットワーク対応ウォレットにはカストディアル型とノンカストディアル型がある
- カストディアル型:秘密鍵を業者が管理するウォレット形態
- ノンカストディアル型:秘密鍵を自分で管理するウォレット形態
- 秘密鍵とは、暗号資産にアクセスするために必要な、他人に知られてはならない暗号鍵

ライトニングネットワークとは、ブロックチェーン本体の処理能力に負荷をかけず、ユーザー同士がオフチェーンで高速かつ低コストに送金を可能にする仕組みです。
例えばコーヒー1杯の支払いにもビットコインを使える未来を現実のものにします。



特に注目すべきは、この技術が今、アフリカや中南米といった金融インフラが未整備な地域で急速に広がりを見せていることです。
これはまさに、銀行口座を持たない人々がスマホ一つでグローバルな金融サービスにアクセスできる時代の幕開けを意味しており、「善いことをする人が得をする世界」の実現にもつながっていくでしょう。


Trader Z
ディーリングアドバイザー
世界第3位の仮想通貨取引所であるMEXCのトレーダーランキングにおいて、常に上位にランキングされる世界有数のトレーダー。
2024年10月には1,229,864,919.71USDT(日本円に換算して 1920 億円)の取引を行い、第1位となる。2024年12月にGFA Capital社が行う暗号資産ディーリング業務のアドバイザーに就任。


監修 Trader Z
ディーリングアドバイザー
世界第3位の仮想通貨取引所であるMEXCのトレーダーランキングにおいて、常に上位にランキングされる世界有数のトレーダー。
2024年10月には1,229,864,919.71USDT(日本円に換算して 1920 億円)の取引を行い、第1位となる。2024年12月にGFA Capital社が行う暗号資産ディーリング業務のアドバイザーに就任。
ライトニングネットワークとは?
ライトニングネットワークの概要
ライトニングネットワーク(LN)は、ビットコインのブロックチェーン上に新たな「支払いレイヤー」を構築する発想から生まれました。
通常のビットコイン送金はすべてブロックチェーンに記録されるため、トランザクション数が増えると処理に時間がかかりやすくなります。
さらに、需要が高まるほど送金手数料も上昇してしまう「スケーラビリティ問題」があります。
ライトニングネットワークはこのスケーラビリティ問題を解消するため、オンチェーンの取引を最小限に抑えながら、日々の少額決済を素早く実行できる仕組みを提供します。
送金をブロックチェーンの外で行うというと、セキュリティ面を懸念する方もいるかもしれません。
しかし、ライトニングネットワークではチャネルを開いてビットコインを一度ロックしておき、支払いや受け取りのたびに署名とバランスを更新する方式をとります。
最終的な残高はチャネルを閉じる時点で正確にブロックチェーンに反映されるので、不正や改ざんに対しても安全性を維持できる点が特長です。
こうした仕組みが整ったことで、コーヒー1杯程度の決済をビットコインで素早く、かつ大幅に安い手数料で行える可能性が広がっています。
ライトニングネットワークが生まれた背景
ライトニングネットワークが考案された大きな理由は、ビットコインが抱える「拡張性の限界」を超える必要があったからです。
ビットコインは1秒間にさばける取引数(TPS)が少なく、利用者が急増すると送金の遅延や手数料の高騰が避けられない性質があります。
2017年頃に起こった「ビットコイン手数料高騰騒動」では、数百円〜数千円の高い手数料を支払わないと迅速な送金が難しいケースも発生しました。
こうした不便を解消しようと、ブロックサイズを拡大する案や別チェーンを活用する案が議論されました。
しかし、ブロックサイズを単純に大きくすると分散性が損なわれる懸念があり、別チェーンを使う方法ではビットコイン本来のセキュリティをフルに活かしにくい問題もありました。
その中で「ビットコインをそのまま使いながら、オフチェーンで高速決済を実現する」アプローチとして注目されたのがライトニングネットワークです。
この技術は2015年頃にジョセフ・プーン氏とタッジ・ドライジャ氏が論文で提唱し、翌年に公開されたホワイトペーパーがブロックチェーン業界を大いに沸かせました。
レイヤー1(ビットコイン本体)のセキュリティを最大限活かしながらレイヤー2(外部の決済レイヤー)を使うというコンセプトは、日常的な支払いを実現する切り札のような存在として急速に受け入れられていきます。
ライトニングネットワークの基本的な仕組み
ライトニングネットワーク最大の特徴は、チャネルという仕組みを使って取引をまとめて処理し、ブロックチェーンへの書き込み回数を大きく減らす点にあります。
まず、送金を行う2者間(あるいはユーザーと取引所など)でチャネルを開設し、一定額のビットコインをチャネルにロックします。たとえば0.1 BTCをロックしておくと、その範囲内で何度でも送金と受け取りを繰り返せます。
実際の支払いはチャネル内の「コミットメントトランザクション」を更新する形で行われ、都度ブロックチェーンに記録されるわけではありません。
チャネル開設時と閉鎖時にブロックチェーンに書き込みが発生するため、短期間に繰り返す小額決済の大部分がオフチェーン処理になります。
さらに、複数のチャネルが相互接続することで、直接チャネルを持たない相手にも送金が可能です。
たとえば、自分がAさんとチャネルを開いており、AさんがBさんと別のチャネルを開いていれば、自分からBさんへの間接送金ができるようになります。
これをルーティングと呼び、ネットワーク全体が大きく広がることで世界中の誰とでもスムーズに取引が行える可能性が生まれています。
ライトニングネットワークのメリットと課題
ライトニングネットワークのメリット
最も大きな魅力は、ビットコインを日常の決済手段として活用できる可能性を切り開く点にあります。
従来、ビットコインを使ってコーヒー1杯を購入しようとすると、ブロック承認を待つ数十分から数時間のタイムラグや、数百円以上の手数料という非現実的な状況が生じるかもしれません。
ライトニングネットワークであれば、ほぼ一瞬で送金が完了し、手数料もごくわずかで済むことが期待できます。
もう一つの利点はビットコイン本来のセキュリティを保ちながらオフチェーン決済を実現している点です。
チャネルにロックしたビットコインは、マルチシグという仕組みで管理されます。
万一、一方の相手が不正な残高をブロックチェーンに書き込もうとした場合には、その不正を行った当人がペナルティを受ける設計がなされており、実質的にイカサマが難しくなっています。
これによって信用リスクを最小限に抑えつつ、処理速度と手数料の低減を同時に実現しています。
ライトニングネットワークの課題
ライトニングネットワークを利用してみると、初期段階でチャネルを開く手順や、ウォレット選びがやや複雑に感じるケースがあります。
ビットコインをオンチェーンで用意し、対応ウォレットへ送金し、チャネルを開設して容量を設定するという流れは、初心者にはややハードルが高いといえます。
もう一つの課題は、大きな金額を送る場合に必要なチャネル容量を確保できない可能性です。
ライトニングネットワークはあくまでユーザー同士の相互接続によって成立しているため、送金経路のどこかで残高が足りなければ支払いが失敗します。
また、ノードを運用してネットワークに参加する場合は、ルーティングの失敗リスクや通信状況によるトラブルが発生することもあり得ます。
こうした問題を解消し、より手軽にチャネルを管理できるようにするための技術開発が現在も続けられています。
なぜライトニングネットワークはここまで有名になったのか
ビットコインの「日常決済通貨化」への期待
ビットコインは当初から「ピアツーピアの電子現金」としての利用を想定されていました。
しかし、実際に利用が拡大すると取引遅延と手数料の問題が目立つようになり、「電子現金」というよりは「デジタルゴールド」的な資産要素が強まってきました。
そこで、「ビットコインをもっと気軽に支払いで使いたい」というコミュニティの要望と、「世界中のあらゆる人が金融インフラを持てるようにしたい」という技術者たちのビジョンが重なり、ライトニングネットワークに大きな注目が集まりました。
また、実際に日常支払いに使えるレベルの即時決済と低手数料が整えば、ビットコインは先進国だけでなく、銀行口座を持たない人々が多い地域でも有力なインフラになり得ます。
国境を越えた少額送金や、インターネット上でのデジタルコンテンツ課金などにも応用できる可能性が高まるため、「ゲームチェンジャーになるのではないか」という期待を集めています。
著名人・企業からの支援と採用事例
ビットコインの普及を後押ししてきた著名実業家として、Twitter(X)の共同創業者ジャック・ドーシー氏がいます。
ドーシー氏はビットコインに強い関心を示してきただけでなく、ライトニングネットワーク関連の企業に資金提供を行ったり、自身の決済アプリと統合を進めたりしてきました。
彼のような影響力ある人物が参加を表明すると、多くの投資家やメディアが興味を示す流れが生まれます。
また、世界最大級の暗号資産取引所であるバイナンスや、米国の大手取引所コインベースなどがライトニングネットワークでの入出金をサポートし始めたことで、一般ユーザーも容易に高速決済を体験できるようになってきました。
国家レベルではエルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用し、国内の店舗やATMでライトニングを使った送金を推奨したことも世界的に大きな話題となりました。
こうしたニュースが重なり、ライトニングネットワークは「ビットコインを次のステージへ引き上げる重要技術」としてさらに注目を集めています。
ライトニングネットワークの注目ニュースと最新動向
主要アップデートや技術開発
ライトニングネットワークの改善策としてよく挙げられるのが、Bolt12という新しい請求書仕様や、Splicingというチャネルを閉じることなく容量を追加・削減できる仕組みです。
請求を簡単にする仕組みが整えば、店舗決済のオペレーションがスムーズになり、チャネルの柔軟な増減が可能になれば、大口・少額のどちらにも対応しやすくなります。
こうした技術改善によってユーザーの利便性が上がり、ビットコインを使う場面がさらに広がるかもしれません。
注目を集めるもう一つの動きは、Taproot Assets(旧称Taro)というプロトコルを利用して、ライトニングネットワーク上で独自トークンやステーブルコインを扱う試みです。
ビットコインのアップグレード「Taproot」で可能になった拡張性を活かし、ドルなどの法定通貨と等価に連動するステーブルコインをライトニング経由で送金できる未来が模索されています。
もしこれが本格的に普及すれば、ビットコインだけでなくその他の通貨圏にもメリットが広がり、世界規模で送金コストが下がる可能性があります。
導入事例・活用シーン
ライトニングネットワークの導入事例として有名なのが、中米エルサルバドルです。
ビットコインを法定通貨に採用したことで、国民向けウォレットにライトニング機能を実装し、マクドナルドなどの店舗でも即時決済ができるようになりました。
また、欧州の一部地域や東南アジアなどでも少額決済が求められる場面でライトニング対応が進み、国境を越えた送金手数料を大幅に削減する事例が報告されています。
個人レベルでも、SNS上で投げ銭としてビットコインを送るといった使い方が行われています。
たとえば、テキストや動画コンテンツを投稿しているクリエイターに対して、数十円相当のBTCをサッと送って謝意を示すといった使い方です。
オンチェーンのビットコイン決済では手数料の方が高くつきかねない状況でしたが、ライトニングネットワークならばその心配がかなり減ります。
ライトニングネットワークを活用するための準備
ライトニング対応ウォレットの選び方
ライトニングネットワーク対応ウォレットには、カストディアル型とノンカストディアル型があります。
カストディアル型は、ウォレット提供者の管理下にあるため、ユーザーが秘密鍵を持たずに使える利点があります。
反面、サービスが停止すると資金にアクセスできなくなるリスクがあります。
一方のノンカストディアル型は、自分で秘密鍵を保持するタイプです。
資金管理の自由度とセキュリティを重視する人にはこちらが好まれますが、チャネル開設や運用にも自力で対応する必要があります。
どちらが優れているというよりも、初心者はまずカストディアル型でライトニング決済の感触をつかみ、慣れてきたらノンカストディアル型に移行するというステップを踏むケースが多いです。
チャネル開設と運用の流れ
チャネルを開設するには、まずオンチェーンで一定量のビットコインをウォレットに用意します。
次に、相手とのチャネルを生成し、ロックするBTCを指定して支払いに備えます。
これが完了すると、相手への少額送金をほぼ瞬時に行えるようになります。
頻繁に決済を行ったあと、最終的にチャネルを閉じるときに初めてオンチェーンでトランザクションが発生する仕組みです。
運用のコツとしては、ライトニングの流動性を意識することです。
チャネル容量をどちらか一方に寄せすぎると、送金できる残高が足りなくなってしまう場合があります。
複数のチャネルをバランスよく管理することで、大口の支払いや受け取りに柔軟に対応できるようになります。
自分でノードを運用する場合は、ネットワークへの接続やルーティングの設定も考慮すると安心です。
少し手間はかかりますが、その分ビットコインを真に活用している感覚を得られるかもしれません。
ライトニングネットワークとは?まとめ
ライトニングネットワークは、ビットコインを高速かつ安価に運用できる仕組みとして大きな注目を集めており、将来性を感じさせる技術です。
反面、チャネルの流動性管理やノード運用といった難しさがまだ残っており、本格的な大衆普及にはさらなる開発や改善が望まれている段階です。
それでも、世界最大手の取引所がライトニング対応を進める流れや、エルサルバドルをはじめとした国家レベルでの採用は、ビットコインが「ゆっくりとだが着実に決済手段としての地位を確立しつつある」兆候ともいえます。
技術そのものもボルト規格のアップデートやTaproot対応が続き、多様な活用事例が生まれる余地があります。
いずれは「ビットコイン=投資資産」というイメージから、日常生活で当たり前に使える電子現金としての姿へ近づく日が来るのではないでしょうか。
もしも興味を持ったなら、一度ライトニング対応ウォレットを試してみるのも面白い経験になりそうです。