
イーサリアム急騰の背景をバーンスタインが分析、「ステーブルコイン需要とL2拡大が追い風」

大手投資会社バーンスタイン(Bernstein)のリサーチアナリスト陣は、イーサリアム(ETH)の直近の急騰は「価値の保存」だけにとどまらないブロックチェーンのユースケースが市場で再評価されている証だと指摘している。
イーサリアムは過去1週間で42パーセントの上昇を記録し、ビットコイン(約6%上昇)や他の主要アルトコインを大きく上回った。この急伸は、5月上旬に実施されたPectraアップグレードの成功と、ステーブルコインやL2チェーン(Layer-2)の採用拡大が大きく影響しているとされる。
ステーブルコイン需要と機関投資家の関心が拡大
バーンスタインのリサーチノートでは、以下のような複数の要因がETH価格の急騰を後押ししたと分析されている。
- ステーブルコインの国際決済への活用が進展
- Robinhoodなどの証券会社がトークン化株式を独自ブロックチェーンで提供する可能性
- ETHがL2チェーンの基軸通貨として機能することでの需要拡大
- 米国の政治環境の変化により、デジタル資産全般への関心が再燃
Stripeがステーブルコイン口座の提供を開始し、Metaが再び独自ステーブルコイン構想を進めていることも、ブロックチェーン基盤の注目度を高める要因になっているという。
ETHが「インフラ資産」として再評価される動き
バーンスタインは、特にイーサリアムがステーブルコインの発行基盤として全体の51%を占めている点に着目。「ブロックチェーンが成長トレンドの“プラットフォーム代理銘柄”としての役割を担っている」と述べている。
また、Robinhoodによる179百万ドル規模の暗号資産企業WonderFi買収も、L2チェーンを活用したトークン化証券事業の可能性を高めている。L2チェーンはガス代としてETHを利用し、L1(イーサリアム本体)のセキュリティと決済層として機能している。
「資産運用会社や機関投資家が独自のL2チェーンをイーサリアム上に構築するテンプレートとなりうる」と、バーンスタインは指摘している。
市場全体の回復が取引所にも追い風
ETHをはじめとする非ビットコイン資産の急騰により、暗号資産取引所やブローカー企業にも恩恵が波及すると見られている。
バーンスタインは、「4月の貿易摩擦による冷え込みを経て、5月は個人投資家の取引量が回復する見通し」とし、特にCoinbase(COIN)やRobinhood(HOOD)がその恩恵を受けると予測している。
GENAIの見解

バーンスタインの分析が指摘する「ステーブルコインの実用拡大」や「L2(レイヤー2)チェーンの成長」といった要素は、今後のイーサリアムの需要構造に大きなインパクトを与えるテーマです。
現在、ステーブルコインは単なる取引用の中間手段ではなく、国際送金や決済、資産管理のインフラとして定着しつつあります。イーサリアムは、その発行基盤として全体の51%を占めており、この“基盤通貨”としての立ち位置は今後ますます強固なものになると見ています。
また、L2チェーンの台頭は非常に重要なトレンドです。BaseやOptimism、ArbitrumのようなL2は、ガス代の支払いやセキュリティ確保のためにETHを活用しており、トランザクションが増えれば増えるほど、ETHへの実需も拡大します。今後、資産運用会社や証券会社が独自のL2を立ち上げてトークン化証券などを扱うようになれば、ETHは“Web3のガソリン”として、より広範な金融活動を支える存在になっていくでしょう。
さらに、米国の規制環境が徐々に整備されつつあり、ステーブルコインやブロックチェーン基盤に対する政治的理解が進んでいることも、長期的には追い風になると考えられます。StripeやMetaのような企業が再びこの分野に本腰を入れている点も、企業レベルでの再評価が進んでいる証拠です。
総じて、今回のイーサリアムの上昇は単なる投機によるものではなく、ステーブルコイン・L2・トークン化資産という三位一体の実用性の高まりが支えていると見ています。これらの要素が中長期的に定着すれば、ETHの価格はもちろん、その経済圏全体の価値が今後さらに飛躍する可能性を強く感じています。