ETF資金流入が鍵に、ビットコインは年末に19万ドル到達か──Citiが分析

米大手銀行シティグループのアナリストが、ビットコイン（BTC）の価格に関する新たな分析レポートを発表した。それによると、現在のビットコインの価格上昇は、ETF（上場投資信託）への資金流入が主要な要因であり、他の複雑な指標よりも単純な需給モデルが説明力を持つとしている。

ETF資金流入が鍵に

アナリストのアレックス・ソーンダース氏とナサニエル・ルパート氏によれば、従来のモデルではマイニングコストや採用率などを重視していたが、現在はビットコインが伝統的なマクロ経済やポートフォリオ戦略に組み込まれつつあるため、投資需要が価格を決定づけているという。

特に注目すべきは、ETFへの資金流入との相関関係であり、アナリストは「ビットコインのリターン変動の41%はETFの純流入で説明できる」と述べている。2025年に入ってからは、既に190億ドル超の資金がビットコインETFに流入しており、そのうち55億ドルは直近1か月での記録である。

シナリオ別価格予測：最良シナリオで年末19万ドル超も

アナリストは、2025年末におけるビットコインの3つの価格シナリオを提示している。ベースケースでは13万5,133ドル、弱気ケースでは6万3,675ドル、そして強気ケースでは19万9,340ドルとされている。

この予測は、ETFへの資金流入が1週間あたり10億ドルに達した場合、価格が3.6%上昇するという過去データに基づいて構築されている。

仮想通貨市場への影響とETFの存在感

ETFはビットコイン価格の新たな指標となるか

この分析は、仮想通貨市場にとって大きな意味を持つ。従来、ビットコインの価格形成は供給制限や半減期サイクル、マクロ経済の不確実性に依存しているとされていたが、ETFという金融商品の登場により、機関投資家の資金流入が最大の価格決定因子となりつつある。

ETFを通じた資産形成は、特にリスク許容度の低い投資家にとってビットコインへの新たな参入機会を提供している。その一方で、ETFからの資金流出が発生すれば、価格に対して同様に強い下落圧力を与える可能性もある。

今後、ETFの純資金流入データは、オンチェーン分析やマイニング関連指標に代わって、相場の短期的な予測指標として一層重視されると考えられる。

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特に「ETF流入が価格変動の41%を説明できる」という分析は、非常に実践的かつ直感に合致しており、ETFの影響力がビットコイン市場でいかに大きいかを物語っています。

2024年以降の価格上昇を「ETFへの資金流入」という一因でほぼ説明できるという点は、ビットコインが今や伝統的金融のポートフォリオにしっかり組み込まれていることを示唆しています。これまでの「マクロ経済と無関係な独立資産」という位置づけから、「流動性・リスク資産の一部」へと変化しているのです。

強気予想として提示された199,340ドルという価格水準は、現実的とはいえ一定の条件が揃わなければ難しいとは思いますが、注目すべきはこのような予測がメガバンクのレポートとして出てきたという事実です。これは機関投資家層の間でも、ビットコインが単なる投機資産ではなく、構造的にリスク配分を検討する対象となってきていることを意味しています。

一方で、ETF流入という単一要因への依存度が高まるということは、逆流（資金流出）が起きた場合の下落リスクも大きくなることを意味します。今後、米国大手金融機関のアドバイザリー機能がETF購入に本格的に関与していく流れは強まると考えられますが、政策的な規制変更や地政学リスクにより流入が鈍化する可能性も十分にあるため、注意が必要です。

総じて、今回の分析はビットコインが金融インフラとして定着しつつある現状を明確に示したものであり、仮想通貨業界にとっては極めて前向きなシグナルであると評価しています。今後はETFの純流入データが、従来のオンチェーン指標やマイニング関連コスト以上に、短期〜中期の価格指標として重視される局面が続くでしょう。