
ビットコインマイニング企業Canaan、米国で4.7EH/sの拡張計画|テキサスとペンシルベニアで採掘強化へ

Canaan、米国での自己採掘体制を大幅強化へ
ビットコインマイニング機器メーカーの**Canaan(カナン)は、自社の北米事業戦略を推進すべく、米国ペンシルベニア州およびテキサス州の施設において、自己採掘(セルフマイニング)事業を拡大する新たな契約を締結したと発表した。これにより約4.7エクサハッシュ/秒(EH/s)**の計算能力が追加される見通しで、2025年第2四半期までに稼働開始する予定である。
今回の契約は、ペンシルベニア州ミッドランドの施設については、Mawson Infrastructure Group傘下のMawson Hosting LLCと3年間のコロケーション契約を、テキサス州エドナの施設については2年間のホスティング契約を結ぶ形で進められている。なお、テキサスの運営会社名は明かされていない。
規制の安定と米国エネルギー市場への期待
CanaanのCEOである張楠庚(ナンゲン・チャン)氏は、「米国は当社の成長戦略を後押しする規制環境が整っており、自己採掘の強化とマイニング機器販売の両面でさらなる拡大が可能だと考えている」と述べており、今後も北米市場での提携と拠点確保を進める方針を示した。
Mawson InfrastructureのCEOラフール・メワワラ氏は、今回の提携について「Canaanのマイニング機器とMawsonのインフラを融合することにより、両社にとって効率的な運用体制を築ける」と強調している。
今回の発表は、Canaanが数か月にわたり北米でのサイト評価を実施してきた結果を反映したものであり、具体的なエネルギーコストや契約金額などの詳細は開示されていない。
Canaanは現在、米ナスダックに上場しているビットコイン採掘機メーカーであり、近年は自己採掘による収益確保に重点を移している。同社の動きは、米国の安定した規制環境とエネルギー市場を活用した事業拡大の一環として注目されている。
GENAIの見解

ビットコインマイニング業界においては、規制・電力コスト・インフラ環境の三要素が極めて重要ですが、現在の米国はこれらすべてにおいて比較的安定しており、特にトランプ政権下での規制緩和の流れは、Canaanのような海外企業にとって追い風となっています。
特に注目すべきは、Canaanが自社製のマイニングマシン販売にとどまらず、自己採掘(セルフマイニング)事業にも本格参入している点です。これは、収益源の多角化を図るとともに、自社製品の性能をリアルタイムでフィードバックし、製品開発にも生かせる合理的な動きです。さらに、4.7 EH/sという規模は決して小さくなく、世界的なハッシュレートの中でも存在感を高める数値です。
また、ペンシルベニアとテキサスという地理的に異なる2つの拠点を活用する点も、地政学的リスク分散や電力供給の柔軟性を確保する意味で非常に理にかなっています。特にテキサスは再生可能エネルギーの供給が拡大している地域でもあり、今後のESG要件にも対応しやすいロケーションです。
総じて、今回のCanaanの動きは単なる北米進出ではなく、マイニング産業の上流から下流までを一体化する「垂直統合モデル」の確立に向けた布石とも捉えられます。今後のビットコイン半減期を見据えても、設備と採掘体制の先行投資は非常に賢明であり、他のマイニング機器メーカーにも波及効果をもたらす可能性があると見ています。