ビットコインが10月に失速、過去10年で異例のマイナスリターンとなった背景

毎年強気相場として知られる10月、通称「アップトーバー(Uptober)」が、2025年は真逆の結果に終わった。月初に史上最高値を更新したビットコイン(BTC)は、その後急落し、約4か月ぶりの安値圏に沈んだ。

暗号資産データサイトCoinGeckoによると、ビットコインは現在1枚あたり約10万9,820ドルで取引されており、10月6日に記録した過去最高値12万6,080ドルから約13%下落。30日間で見ると価格は8%以上の下落となっている。

過去10年間でビットコインが10月にマイナスを記録したのは2018年のみであり、今回の下落で6年連続の上昇記録が途切れた。データサイトCoinGlassによると、2025年10月の下落率は月初から月末までで3.69%に達したという。

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利下げ期待の後退と流動性不安

この歴史的な「負けアップトーバー」は、マクロ経済環境の悪化が大きく影響した。特に注目されたのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策姿勢と世界的な流動性不安だ。

10月末、FRB議長のジェローム・パウエル氏は「利下げは既定路線ではない」と発言。これが市場心理を冷やし、ビットコインをはじめとするリスク資産は急落した。BTCは一時10万6,000ドルを割り込む場面もあった。

また、トランプ大統領が中国との貿易摩擦を再燃させたことも市場に追い打ちをかけた。投資家は約190億ドル相当のポジションを清算し、そのうち9割近くが価格上昇を見込んだロングポジションだったという。

Bitwiseの上級投資ストラテジスト、フアン・レオン氏はDecryptに対し、「10月のマイナスリターンは、マクロ経済ショック、脆弱な市場構造、そして消極的な金融政策の三つが同時に重なった結果だ」と述べた。特に10月11日の暴落が長期的に市場心理を冷やしたという。

ビットコインは流動性に敏感な資産

アナリストのノエル・アチェソン氏も、自身のニュースレター「Crypto is Macro Now」で、利下げ期待の後退が依然として暗号資産価格を圧迫していると指摘している。

「パウエル議長の発言にもある通り、流動性環境は引き締まりつつある。まだ危機的水準ではないが、ビットコインは流動性の変化に最も敏感な資産の一つだ」と同氏は述べた。

また、アチェソン氏は「株式には業績や配当が、債券には金利や経済成長が影響するが、ビットコインにはそうした実体的要因がなく、短期的には流動性、長期的には需給バランスだけが価格を決定する」と分析した。

長期保有者の売りも影響

アチェソン氏はさらに、Telegram上でDecryptに対し、長期保有者による売却が増えているとも述べた。これは、ビットコインが4年周期サイクルの「ピーク」に達したとの見方によるものだという。

「もし4年周期理論を信じているなら、現在はその頂点にある」と同氏は指摘している。ビットコイン市場は過去にもこのサイクルに沿って上昇と調整を繰り返しており、今回も同様の転換期を迎えている可能性がある。

今後の展望

10月の下落は一時的な調整にすぎないのか、それとも新たな下降トレンドの始まりなのか、専門家の見方は分かれている。流動性の低下や金融政策の不透明感が続く限り、ビットコインは短期的に不安定な値動きを見せる可能性が高い。

一方で、長期的には半減期による供給減少やETF資金流入などの支援要因が残っており、年末にかけて再び上昇に転じる可能性も指摘されている。

まとめ

GENAI

今年の「Uptober(上昇の10月)」が「Red Uptober(赤い10月)」へと変わった最大の要因は、米国の金融政策の不透明感と市場流動性の低下に対する投資家心理の冷え込みにあります。
ビットコインは依然としてマクロ経済の影響を強く受ける資産であり、センチメント主導の相場構造が露呈した形です。

これまで10月はビットコインにとって“勝ち月”とされてきました。過去10年間で9回がプラスとなり、「Uptober」という言葉まで定着していました。しかし今年はその流れが崩れ、月初の12万6000ドルから約13%下落し、10万9820ドル付近で取引されるなど、6年ぶりのマイナス月となりました。

その背景には3つの要素が絡み合っています。第一に、米国の金融政策に対する期待の後退です。FRBパウエル議長の「利下げは確定事項ではない」という発言は、市場に冷や水を浴びせました。ビットコインは金利や流動性に最も敏感な資産の一つであり、利下げ観測の後退は即座に売り圧力につながります。

第二に、米中間の貿易摩擦再燃によるリスクオフの流れです。トランプ大統領が中国への追加関税を再び示唆したことで世界経済への不安が高まり、リスク資産からの資金流出が起こりました。その際、仮想通貨市場では約190億ドルのポジションが清算され、その9割がロングポジションという偏った構造が一気に崩れたことが大きな打撃になりました。

第三に、内部的な市場要因、つまり長期保有者(ホドラー)による売却が確認されたことです。これは「ビットコインは4年周期で天井をつける」という過去のパターンを信じる投資家が多いためで、今回の上昇局面を“サイクルのピーク”と判断した一部の大口が利益確定に動いたと考えられます。

こうした複合的要因により、短期的には調整局面に入った形ですが、これは必ずしも悲観的なシグナルではありません。流動性が一時的に絞られているだけで、FRBの方針転換やマクロ環境の改善が見られれば、再び資金はビットコイン市場に戻る可能性があります。

要するに、今回の「Red Uptober」は市場の脆さとセンチメントの影響力を浮き彫りにしましたが、同時に、長期投資家にとっては健全な調整段階とも言えます。ビットコインは依然として“流動性のバロメーター”であり、金利政策やマクロ環境が再び緩和方向に向かうとき、その反発力は過去のサイクルを超える可能性も秘めています。

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