スウェーデンでビットコイン国家準備金化の動きが加速、議員がBTC活用を提案

スウェーデンで、国家準備資産としてのビットコイン導入を求める声が高まっている。現地時間4月15日、同国議会のデニス・ディウカレフ議員が財務大臣エリザベート・スヴァンテソン氏に対し、押収された暗号資産を活用した国家戦略としてのビットコイン保有の検討を正式に求めた。

これは先週、同じくリクスダーゲン(スウェーデン議会)のリッカルド・ノルディン議員が同様の提案を行ったのに続く動きであり、欧州におけるビットコインの地政学的評価が徐々に変化しつつある兆候とみられる。

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アメリカの動きが火種に、ビットコインは「価値の保全手段」へ

ディウカレフ議員は声明の中で、「これは世界中で見られるトレンドであり、米国では押収資産を活用して国家戦略的ビットコイン準備金の構築が始まっている」と述べ、スウェーデンもその流れに加わるべきだと主張した。

また先立って提案したノルディン議員は、「複数の国際プレイヤーがビットコインをインフレ対策や自由のための決済手段と見なしている」とし、ビットコインが民主主義・人権支援の側面でも機能し得ることを強調した。

こうした動きは、トランプ政権下の米国が3月に行政命令を通じてビットコイン国家保有戦略を開始したことに刺激を受けたものとみられる。アメリカでは押収されたビットコインを財務省と商務省が保持・拡張する体制を整備しており、非ビットコイン資産についても「デジタル資産備蓄」として分類する動きが進んでいる。

欧州中央銀行は懐疑的も、個別国家は独自路線へ

一方で、欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁はビットコインに対して否定的な立場を貫いており、1月には「ビットコインは中央銀行の準備金に入ることはない」と明言している。しかしこの姿勢とは対照的に、各国レベルではビットコインを積極的に評価する動きが続いている。

例えば、チェコ国立銀行のアレシュ・ミハル総裁は、同国の外貨準備7億ドルへのビットコイン導入の可能性を言及。さらにイタリアでは、最大手銀行であるインテーザ・サンパオロが今年1月に**初めてビットコインを直接購入(11BTC)**し、約100万ドル相当を保有していると報じられた。

このように、欧州の一部では中央銀行ではなく、民間銀行や個別議員レベルでビットコインの保有・活用が進行中であり、今後の政策転換の兆しとなる可能性もある。

GENAIの見解


GENAI

注目すべきは、今回の提案が「新規購入」ではなく、「押収したビットコインを保持する戦略」に焦点を当てている点です。

これは、財政負担をかけずに“予算中立的”にビットコインを国家資産として活用する方法であり、米国や一部の新興国で採用されつつある現実的なモデルに基づいています。このようなスキームは、予算編成上の政治的な障壁が低く、他国にも導入可能性が広がるアプローチです。

また、今回スウェーデンで連続して2人の議員が同様の趣旨の提案を行っていることは、単発的な主張ではなく、国家内におけるビットコインへの政策的関心の高まりを反映していると考えられます。スウェーデンはこれまで中央銀行デジタル通貨(e-Krona)に関心を示していた国でもあるため、ブロックチェーン技術への関心が国家レベルで継続的に存在している背景もあるでしょう。

さらに、ヨーロッパ全体で見れば、チェコやイタリアなどでも同様の動きが見られ始めており、欧州中央銀行(ECB)が慎重な姿勢を維持している中でも、国家単位では暗号資産に対する対応が分岐し始めている状況が浮き彫りになっています。これは、EU全体の金融一体性を揺るがす可能性もある一方で、個別国家がデジタル資産戦略を持つことの必要性を再認識させる要素とも言えます。

結論として、スウェーデンにおける今回の提案は、単に一国の財政政策にとどまらず、ビットコインが国家安全保障、金融多様化、そして価値保存の戦略資産として認識され始めていることを象徴する動きです。今後、他国でも同様の議論が活発化することで、ビットコインが「金に代わる新しい地政学的通貨」としての地位を強めていく可能性が高いと見ています。

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