米政府がビットコイン調達に“関税活用”も視野、保有拡大に向け「多くの創造的な手段」を検討中

ホワイトハウスのデジタル資産顧問が、米国政府がビットコイン（BTC）保有を拡大するために、関税や金の再評価を含む“複数の創造的手段”を検討していると明かした。

これは、大統領デジタル資産諮問会議の事務局長を務めるボー・ハインズ氏が、著名インフルエンサーのアンソニー・ポンプリアーノ氏とのインタビューで語ったものである。

金の評価替えによる「間接的BTC購入」が検討案のひとつに

ハインズ氏はインタビューで、財務省が保有する金証書（ゴールド・サーティフィケート）を現在の金価格に再評価することで得た差益を、ビットコイン購入に充てる案が浮上していることを明かした。このアイデアは、親ビットコイン派で知られるシンシア・ルミス上院議員が提出した「2025年ビットコイン法案（Bitcoin Act of 2025）」に基づくものである。

「財務省が保有する金証書は、1オンス43ドル程度で記録されているが、現在の金価格は3,100ドルを超えている。その差額を活用すれば、ビットコイン購入に充てる資金を捻出できる」とハインズ氏は説明した。

金証書は、1865年から1933年まで米国政府が発行していた、金の保有証明書であり、代表通貨の一種として機能していた。これを現代の金融戦略に応用する試みは、米国が法定準備資産の構造を再構築しようとしている兆候とも受け取れる。

「あらゆる選択肢を検討中」、関税によるBTC取得構想も

さらにハインズ氏は、「政府内では現在、多様な手法が検討されており、関税を通じたビットコイン調達もその一案として取り上げられている」と明言。トランプ大統領が最近発表したメキシコ、カナダ、中国に対する新関税政策も、その文脈の一部とされている。

「すべての選択肢がテーブルの上にあり、我々は可能な限り多くのビットコインを取得するために、一切の可能性を排除しない方針で取り組んでいる」と語った。

関税によるビットコイン取得の具体的な仕組みについては明言されなかったが、物理的資産の取引・課税を通じてBTC購入原資を確保する形が想定されているとみられる。

まず注目すべきは、ビットコインの取得手段として金（ゴールド）の再評価を財源とする案が真剣に議論されている点です。財務省が保有する金証書は現在、1オンス43ドルという過去の基準で評価されていますが、これを現行価格である3,000ドル超に引き上げれば、実質的に数百億ドル規模の資金余力を帳簿上で生み出すことが可能になります。

この“再評価益”を活用してビットコインを購入するというスキームは、財政に負担をかけずに国家準備資産を多様化する手法として非常に理にかなっています。

また、関税を活用してBTCを取得するという考えも極めて興味深く、これは単に貿易収入を税収として得るのではなく、ドルではなくビットコインという形式で最終的に価値を蓄積するという発想にシフトしつつある兆しです。

これは、現在のドル基軸体制に対する一種の“対抗的価値戦略”とも言える動きであり、国家が法定通貨以外の形で資産多様化を進めるという点で、戦後の金融秩序を揺るがすほどの潜在的インパクトがあります。

また、ボー・ハインズ氏が「全ての選択肢がテーブルの上にある」と明言したことは、今後さらに多様な政策手段が導入され、国家レベルでビットコインの保有が制度化されていく可能性があることを示唆しています。これは今後の法案化、予算措置、さらには連邦準備制度との関係にも大きな影響を与えるでしょう。

結論として、今回の動きは、国家がビットコインを通貨や証券とは異なる“戦略的資産クラス”として認識し、計画的に保有しようとするフェーズへと突入したことを意味します。

民間の投資家や企業の保有フェーズを超えて、政府間でのBTC取得競争が本格化する可能性も視野に入っており、今後の国際金融の構図に極めて大きな影響を与えると予測されます。この動向は、仮想通貨市場全体にとっても、歴史的な転換点になり得るでしょう。