
スイス大手スーパー「Spar」が全国でビットコイン決済導入へ、日常利用拡大に弾み

スイスの大手スーパーマーケットチェーン「Spar(スパー)」が、全国の店舗でビットコイン決済を導入する計画を発表した。暗号資産決済企業DFX Swissとの連携による取り組みで、スイスにおける暗号資産の実用化拡大に向けた重要な一歩となる。
パイロット成功を受け、全国展開へ
スパーは今月、ツーク(Zug)にある店舗でLightning Networkを通じたビットコイン決済を試験導入した。DFX Swissの「OpenCryptoPay」プラットフォームを活用し、ピアツーピア形式で簡単かつ即時に決済が完了する仕組みを採用している。その後、クロイツリンゲン(Kreuzlingen)の店舗でも導入が始まり、成功を受けて今後全国展開する方針が示された。
決済プロセスはQRコードでシンプルに
ビットコイン決済は、店舗に設置された静的QRコードをスキャンしてサトシ(Sats)を送金するだけというシンプルな仕組みで、迅速な登録がレジで完了する。ビットコイン協会スイスのラヒム・タギザデガン氏もLinkedInで「即時かつ簡単に支払いできた」と使用感を報告している。
暗号資産導入に積極的なスイス経済圏
スイスは従来から「クリプトバレー」として知られ、ツークでは2020年からビットコインによる納税を受け付けるなど、暗号資産の実用化を進めてきた。現在、国内600以上の企業がビットコイン決済を導入しており、世界的にも先進的な取り組みが進められている。
中央銀行レベルでは慎重姿勢も
一方で、スイス国立銀行(SNB)は暗号資産を外貨準備に組み入れることに慎重な姿勢を示している。SNBのマルティン・シュレーゲル総裁は「ビットコインは外貨準備要件を満たしていない」と発言しており、国レベルでの統合にはまだ課題も残されている。
GENAIの見解

これまでビットコインは、主に投資・投機対象としての側面が強調されてきましたが、今回のように日常の買い物に実際に使える環境が整うことは、暗号資産が「通貨」としての本来の役割を回復するために不可欠なステップです。
特に、Lightning Networkを活用した即時決済システムを導入することで、従来の「取引遅延」「高額な手数料」といったビットコインの弱点を克服している点は非常に評価できます。
また、スイスという国自体が暗号資産に対して比較的寛容な規制環境を整えていることも、この取り組みを後押ししている要因だと見ています。ツークのビットコイン納税や、ルガーノ市のUSDT決済導入など、すでにインフラ面でも着実に進展しているため、スパーの全国展開も十分成功する可能性が高いと考えます。
一方で、スイス国立銀行(SNB)が依然としてビットコインを外貨準備に組み入れることに否定的な立場を取っている点は、国全体としての暗号資産統合にはまだ慎重な面があることを示しています。この点については、民間主導の導入がどれだけ広がり、社会的な受容度が高まるかが、今後の政策判断にも影響を与えると予想されます。
総じて、Sparのビットコイン決済導入は、ヨーロッパ市場全体に対しても強いインパクトを与える可能性があり、他国でも同様の動きが加速するきっかけになると期待しています。ビットコインが実社会で「使われる資産」としての地位を確立できるかどうか、その試金石となる事例だと考えています。