ビットコインETFへの資金流入がゴールドETFを圧倒、米資産リスク回避の「より優れたヘッジ」と評価

米国におけるビットコインETFへの資金流入が、ゴールドETFを大きく上回っていることが明らかになった。スタンダードチャータード銀行によれば、過去5営業日でビットコインETFには30億ドル超の資金が流入し、金ETFからは10億ドルが流出したという。

資金流入の差は4億ドルに拡大　大統領選以降最大規模

スタンダードチャータードのアナリスト、ジェフリー・ケンドリック氏は投資家向けノートで「ビットコインETFとゴールドETF間の資金流入差は40億ドルに達し、2024年11月の米大統領選挙週以来、最大規模となった」と指摘している。

ビットコインは米資産からの「戦略的再配分」ヘッジと評価

ケンドリック氏は、ビットコインが「米国資産からの戦略的再配分に対するより優れたヘッジ」として機能していると分析する。

米国債の長期利回りプレミアムが12年ぶりの高水準に達しており、米国ベースの投資家が海外資産へのシフトを進めている兆しが見られるという。

ゴールドは地政学リスクヘッジ、ビットコインは金融リスクヘッジ

一方で、金は主に地政学的リスク（物理的リスクや貿易戦争）へのヘッジ手段として機能しているとされる。

米中間で貿易協議再開の兆しが見られ、相互関税に一部免除措置が取られたことで、金への需要は相対的に低下している。

ビットコイン需要は今後も高水準維持の見通し

スタンダードチャータードは、米国の経済政策運営に対する市場の不安感が残る中、ビットコインへの需要は今後数週間も高水準を維持し、第2四半期末までにビットコイン価格が新たな史上最高値を更新する可能性が高いと予測している。

とくに注目すべきは、ETFという制度化された投資手段を通じて、ビットコインが伝統的な安全資産である金を凌ぐ資金流入を記録している点です。これは単なる価格の一時的上昇ではなく、機関投資家を含む市場参加者がビットコインを構造的・長期的なヘッジ資産と認識しはじめていることを意味します。

加えて、現在の地政学リスクがやや落ち着きを見せる中で、金の役割が一時的に弱まっているのに対し、ビットコインは米財政・金融政策に対する不信感や、ドル建て資産のリスクヘッジ先として注目されています。これは従来の「安全資産＝金」という常識が見直されつつあることを示しています。

もちろん、ビットコインは依然としてボラティリティが高く、全ての投資家にとって理想的なヘッジ資産とは言い切れませんが、今回のようなETF経由の需要増加は、流動性や信頼性の向上につながる重要な流れです。

総じて、今後も米国の経済政策や金利動向に応じて、資産配分の中でビットコインが担う役割は一層拡大していくと見込まれます。特に長期投資家や資産防衛を重視する層にとって、ビットコインは無視できない存在になりつつあると感じています。