
ナスダック上場のセムラー・サイエンティフィック、再びビットコインを大量購入|保有総額は3,467BTCに

米医療機器企業Semler Scientific(セムラー・サイエンティフィック)は、4月25日から29日の間に165BTC(約1,570万ドル相当)を新たに購入したと発表した。これにより、同社のビットコイン保有量は合計3,467BTCに達した。
この購入は、同社が4月25日に111BTC(1,000万ドル相当)を取得したことに続くもので、わずか1週間足らずで2度目の大型購入となる。水曜日時点での同社のビットコイン保有額は、3億2,700万ドル超に達している。
Semler Scientific(セムラー・サイエンティフィック)とは
Semler Scientificは、米カリフォルニア州サンタクララを拠点とする医療機器メーカーであり、主に心血管疾患の早期発見や予防を目的とした製品を提供している。特に、動脈硬化や血流障害の検査に用いられる「QuantaFlo」システムを主力商品として展開していることで知られる。
ナスダック市場に上場しており、ティッカーシンボルはSMLR。元々は医療技術分野に特化した企業であったが、2024年以降はビットコインを企業財務に積極的に取り入れる「ビットコイン財務戦略」を打ち出し、大きな注目を集めている。
攻めのビットコイン戦略を継続
同社の会長であるエリック・セムラー氏は、X(旧Twitter)にて「We bleed orange(私たちの血はビットコイン色)」と投稿。数日前には「ビットコイン戦略が気に入らないなら、株を売ってもらって構わない」とまで述べており、その強気姿勢は変わっていない。
Semler Scientificは、ビットコイン購入のために最大5億ドルを調達する新たな証券発行を計画しており、今後もさらなる購入を継続する意向を示している。
マイクロストラテジーの手法を踏襲
同社のビットコイン戦略は、マイケル・セイラー氏率いるStrategy(旧MicroStrategy)によって確立されたモデルを踏襲している。セイラー氏も今回の購入に対して言及し、年初来23.8%の「BTCイールド」(保有BTC数 ÷ 発行済株式数)を「印象的」と評価した。なお、Strategyは現在2.5%以上のBTC供給量を保有しているが、年初来BTCイールドは13.7%にとどまっている。
Semlerは今年2月にも、8,850万ドル相当のビットコイン購入を実施しており、これまでにも積極的な購入を重ねてきた。
現在の3,467BTCの保有量は、上場企業としては世界トップ10圏外ではあるものの、その存在感は急速に高まっている。
一方、同社の株価は下落基調にあり、本日だけで4.83%下落し、32.33ドルで取引を終了した。年初来では40%以上の下落を記録している。
GENAIの見解

Semler Scientificは医療機器を主力とする中堅上場企業であり、従来は金融業とは無縁の存在でした。
にもかかわらず、ここまで積極的かつ継続的にビットコインを購入し、財務資産の一部として組み込んでいるという点は、企業財務の分野におけるトレンドシフトの象徴的な動きです。
特に注目すべきは、同社が最大5億ドルの資金調達を予定しており、その資金の一部を今後のビットコイン購入に充てる意向を明示していることです。これは短期的な値上がり益を狙った投機的な姿勢というよりも、インフレヘッジ、法定通貨リスクの分散、そして価値保存資産としてのビットコインを本格的に財務ポートフォリオに組み込む意図があると読み取れます。
また、マイクロストラテジー(Strategy)の影響力も見逃せません。同社のビットコイン戦略が他の上場企業に対して“テンプレート”として作用しており、Semlerのような中規模企業でも模倣が可能であることが示されました。この動きが他の企業にも波及すれば、企業によるビットコインの長期保有トレンドがさらに加速する可能性があります。
一方で、株価が年初来で40%以上下落しているという点は、投資家からの評価がまだ分かれていることも示しています。株主との対話や財務リスク管理の透明性をどう確保していくかが、今後の大きな焦点になるでしょう。
総じて、Semler Scientificの動きは「ビットコインを企業の資産運用手段としてどう位置づけるか」という議論をより現実的かつ広範囲なものに押し上げた事例であり、今後さらに多くの企業がこれに続く可能性があると見ています。