
ビットコインは「保有しないことの方がリスク」──ブラックロックが戦略資産として評価を強調

世界最大の資産運用会社ブラックロックが、ビットコイン(BTC)を保有しないこと自体がリスクとなる可能性があるとの見解を示した。これは、従来の「ビットコインはリスク資産」という常識を覆す発言であり、機関投資家の姿勢に大きな転換をもたらす兆しといえる。
相関性が分岐点に 「テック株の延長」から脱却できるかが鍵
ブラックロックのデジタル資産部門責任者ロビー・ミッチニック氏は、シンガポールで開催された暗号資産カンファレンス「Token2049」にて、ビットコインが株式市場、とくにテック株との相関性を脱却できるかどうかが、今後の評価に決定的な影響を与えると語った。
「もしビットコインがテック株のような動きをするだけなら、機関投資家にとってはあまり魅力的ではない。しかし、異なる値動きを示すのであれば、ポートフォリオにおいて重要な役割を担う可能性がある」と指摘した。
特に、暴落時や大規模な市場の負の事象(いわゆる“レフトテール”イベント)において、低相関あるいは逆相関を示すことができれば、ビットコインはリスクヘッジ資産として本格的に組み込まれる可能性があるという。
投資判断は「危険か否か」から「保有しないリスク」へ転換
ミッチニック氏はさらに、「これまでの会話は『我々にとってビットコインはリスクが高すぎるのではないか』というものでしたが、今後は『ビットコインをまったく持たないことの方がリスクではないか?』という問いに変わっていく」と述べ、ビットコインが投機的な存在から戦略的資産へと昇格する可能性に言及した。
ブラックロックはすでに「行動」で示している
この見解は、ブラックロックの実際の動きとも一致している。CEOのラリー・フィンク氏はかつて仮想通貨に懐疑的だったが、現在はビットコインを「デジタルゴールド」と評価し、通貨の価値毀損や地政学的リスクに対する重要な防衛資産と見なしている。
同社が2024年1月にローンチした「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」は、史上最速で成長するETFとなっており、フィンク氏は「世界の政府系ファンドが資産の2〜5%をビットコインに配分すれば、BTC価格は70万ドルにも達する可能性がある」との強気な見通しを示している。
GENAIの見解

このニュースは、ビットコインがついに「投機的資産」から「戦略的資産」へと本格的に認識されつつある転換点を示しており、非常に重要な意味を持つと感じています。
特にブラックロックのような超大手資産運用会社が、「ビットコインを持たないことの方がリスクになる可能性がある」と発言するのは、従来の金融業界の常識を根底から覆すものです。
ロビー・ミッチニック氏が述べている通り、機関投資家にとってビットコインの「相関性」は非常に大きな判断材料です。過去にはナスダックやテック株と高い相関性を示していたため、「リスク資産」としての評価に留まっていましたが、もしビットコインが「市場の下落時にも独立した値動きをする資産」だと証明できれば、それは分散投資の観点から非常に有効なポートフォリオ要素となります。
また、ブラックロックがiShares Bitcoin Trust(IBIT)を通じて具体的なアクションを起こしている点も非常に重要です。これは単なる“発言”ではなく、すでに市場で影響力を行使しているという事実を意味しています。特にCEOのラリー・フィンク氏が過去の否定的な姿勢から大きく舵を切り、「デジタルゴールド」として公然と評価していることは、他の保守的な投資機関にも連鎖的な影響を与えるでしょう。
今後は、ビットコインが「持っていないことで説明責任を問われる資産」へと移行していく可能性があります。これは、かつてゴールドがそうだったように、リスクヘッジ資産としての立ち位置が確立していく過程の一部だと見ています。規制環境やボラティリティの課題は依然として残りますが、機関のマインドセットが大きく変わりつつある今、その成長性はますます現実味を帯びていると考えます。