
米ニューハンプシャー州がビットコイン準備金を合法化、州政府による暗号資産投資が全米初の法制化へ

米ニューハンプシャー州が、州政府によるビットコイン(BTC)などの暗号資産への投資を正式に認める法案を可決・施行した。これは米国の州として初の法制化事例であり、他州に先駆けた先進的な取り組みとして注目されている。
「Live Free or Die」の精神で暗号資産に先手
5月6日、同州のケリー・アイオット知事はSNSで、州議会上下院を通過した「House Bill 302」に署名したと発表。この法案により、州財務局は一定条件を満たす暗号資産と貴金属への投資が可能となる。
具体的には、時価総額が5000億ドル以上の仮想通貨のみを対象とすることで、ミームコインやボラティリティの高い草コインを排除。現在の基準では、ビットコインやイーサリアムなどの主要資産が対象となるとみられる。
ニューハンプシャー共和党は公式Xアカウントで「Live Free or Die(自由を失うくらいなら死を)」という州のモットーを引用し、「商取引とデジタル資産の未来を切り開く先駆けになる」と強調した。
アリゾナ・フロリダは後退 ニューハンプシャーが先陣に
この法制化は、全米で複数の州が検討している「政府による暗号資産準備金保有」構想の中でも最初の成功事例となる。アリゾナ州では同様の法案が州下院を通過していたが、5月2日にホッブス知事が拒否権を発動。
また、フロリダ州では5月3日に暗号資産準備金関連法案2本が撤回されており、ニューハンプシャーのみが先に進んだ形となった。
連邦政府も「戦略的ビットコイン準備金」構想を推進中
この動きは、トランプ大統領の政権復帰と共和党主導の連邦政策とも連動している。トランプ氏は今年3月、「デジタル資産備蓄」および「戦略的ビットコイン準備金」の設立を指示する大統領令に署名済み。
さらに、共和党のシンシア・ルミス上院議員が提出した「BITCOIN法案」では、連邦政府が没収資産などを通じて100万BTC以上を保有可能にする構想も盛り込まれており、現在は上院銀行委員会で審議が進められている。
GENAIの見解

ニューハンプシャー州が州政府によるビットコイン投資を法的に認めた初の州となったことは、地方自治体レベルから金融政策における仮想通貨の活用が現実味を帯びてきた証拠です。
注目すべきは、単にビットコインを保有できるという話ではなく、「州の準備資産」として暗号資産を選択肢に加えるという、財政的なリスク管理戦略としての位置付けがなされている点です。対象を時価総額5000億ドル以上の銘柄に限定することで、草コインやミームトークンのような投機的資産を除外しており、慎重かつ現実的な制度設計になっていると評価できます。
また、アリゾナやフロリダで類似法案が頓挫する中、ニューハンプシャーが先行して実行に踏み切ったことで、他の州への波及効果が出る可能性が高いです。特に、連邦レベルで進められているトランプ政権の「戦略的ビットコイン準備金」政策や、シンシア・ルミス議員のBITCOIN法案と連動してくれば、全米規模で政府によるビットコイン保有が常識化する可能性も出てくると見ています。
短期的には象徴的な一歩ですが、長期的には「国家や地方自治体が暗号資産を財務インフラの一部として扱う」という新しい潮流のはじまりと捉えています。この流れが進めば、ビットコインの「価値の保存手段」としての地位はさらに強固になるでしょう。