マイケル・セイラー氏、ビットコイン戦略構築にAIを活用したと語る

ビットコイン最大級の保有企業として知られるストラテジー(旧MicroStrategy)が、AIを用いた金融商品の設計と資本戦略の最適化に乗り出している。同社の創業者でありエグゼクティブ・チェアマンのマイケル・セイラー氏は、5月に開催された「ストラテジー・ワールド」で、自身のビットコイン戦略がAIの力によって実現されたと語った。

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AIが52億ドルのビットコイン帝国を支える「デジタル頭脳」に

セイラー氏によれば、2020年8月から始まった同社の「ビットコイン標準戦略」は、初期投資2.5億ドルから約52億ドル規模にまで膨れ上がったBTC保有に成功しており、その過程でAIは極めて重要な役割を果たしたという。

「チャットAIをディープリサーチモードで動かして、50の情報源を15分で分析させる。100%完璧な答えではないが、80〜95%の確度のある戦略判断を可能にしてくれる」と語り、AIが人間の意思決定を強力に補完している実態を明かした。

世界初の「AI設計証券」も誕生

セイラー氏はさらに、同社が設計した2つの優先株「Strike(STRK)」と「Strife(STRF)」もAIによる支援で創出された金融商品であると明かした。

  • STRK:8%の配当を現金またはMSTR株で受け取れる転換型優先株
  • STRF:非転換型で安定志向の固定収益投資家向け商品

いずれも主にビットコイン購入資金を調達するために設計されたもので、「この2つの証券は業界で初めてAIによって構造設計された」とセイラー氏は語った。

新プロダクト「Mosaic」も生成AIで開発

ストラテジーのCEOであるフォン・リー氏は、生成AIで開発された初の製品「Mosaic」を発表。これは企業のデータ活用を再定義するアナリティクスツールであり、複雑なデータウェアハウス構築を不要にし、リアルタイムでの情報管理を実現するとしている。

リー氏は「データは自分のものであるべき。他社に勝手にAIトレーニングに使わせるべきではない。使わせたいなら、むしろ売ればいい」と述べ、データの主権回復と収益化の可能性にも言及した。

AI × ビットコインの未来へ

セイラー氏は、AIとビットコインの関係性について次のように総括している。

「デジタルインテリジェンス(AI)とデジタル資産(BTC)、デジタルキャピタル(資本)の融合により、生産性が100倍に跳ね上がる未来がやってくる。その資本の行き先は、必ずビットコインになる」

同氏は最後に「合意形成型の発想では、この競争時代を勝ち抜けない」と述べ、“異端の思考”こそがデジタル経済時代の成功要因であると強調した。

GENAIの見解


GENAI

マイケル・セイラー氏はこれまで一貫してビットコインを「デジタル資産の究極形」として位置づけてきましたが、今回はそこにAIを活用することで、資本市場における創造的な金融商品設計を実現した点が特に注目されます

実際に、AIを用いて設計されたとされる優先株「Strike」や「Strife」は、従来の金融工学では難しかった複雑な構造を短期間で構築し、Nasdaqへの上場という成果にまで結びつけているのです。

また、情報収集やリスク分析にAIを用いるというアプローチは、多くの企業で既に導入が始まっている一方で、AIを「資本戦略そのものの設計」にまで踏み込んでいる例は極めて先進的です。セイラー氏の発言からは、単に業務効率を上げるだけでなく、AIを使って企業がどのように市場で差別化できるか、という視点が明確に示されています。

さらに、生成AIで開発された新プロダクト「Mosaic」も、企業が保有するデータをどのように自律的に活用・保護するかという、今後のWeb3的価値観を体現した内容であり、ビットコインの「自己主権的資産」との思想的な連続性も感じさせます。

結論として、今回の発表は単なるAI導入事例ではなく、資本、情報、そしてデータの自律性を軸にした“ポスト伝統金融”の企業モデルを提示している点において、非常に意義深い動きだと思います。今後、他の上場企業がこのモデルをどう追随するかも注目されるでしょう。

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