
OKXが米国市場に再参入──5億ドル超の和解を経て段階的に展開

大手暗号資産取引所のOKXが、米国での運営再開を発表した。過去に米国当局との間で法的問題を抱えていた同社は、5億ドル超の和解金を支払った後、新体制での本格展開をスタートする。
米国版OKXの新CEOに元バークレイズ幹部を起用
4月16日に公開された公式ブログによると、OKXは米国市場での再出発に際し、元バークレイズ銀行ディレクターのロシャン・ロバート氏を米国CEOに任命した。同氏は、「OKXの中央集権型取引所とOKXウォレットの米国展開、そしてカリフォルニア州サンノゼへの地域本社設立を発表できることを誇りに思う」と述べた。
既存のOkcoinユーザーは新プラットフォームに自動移行される予定で、より深い流動性、低手数料、高機能なトレーディングツールなどが提供される。
展開は一斉ではなく、段階的なローンチとなり、年内に全米展開を計画している。まずは限られた新規ユーザーに対応し、安全でスムーズなオンボーディングを図るという。
コンプライアンス強化と米国市場での再評価
OKXの米国市場再参入は、5億500万ドル(約770億円)の和解金支払いに合意した直後に発表された。過去には未登録のマネー・トランスミッション業を運営していたとして、米国司法省(DOJ)から複数の違反を指摘されていた。
この問題を受け、OKXは元ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏を顧問として起用し、コンプライアンス体制の強化に乗り出していた。同社は現在、サイバーセキュリティ企業Hackenによる毎月の「準備金証明(PoR)」監査を受けており、ビットコイン、イーサリアム、USDT、USDCなどの主要資産のサポートも行う。
加えて、米国ユーザー向けには130以上のブロックチェーンに対応したOKXウォレットも展開され、SolanaやBaseなどに対応したDEXアグリゲーターも組み込まれている。
米国市場での「第二の船出」に注目
かつての法的問題を乗り越え、コンプライアンス体制を再構築したOKXは、米国市場での再スタートに自信を見せている。CEOスター・シュー氏は、「各国の規制機関において、OKXをグローバルなコンプライアンスの金字塔とすることを目指す」とコメントしており、今後の展開に業界関係者の注目が集まる。
GENAIの見解

米国のSEC委員長がゲンスラー氏から交代し、暗号資産に対して寛容かつ成長志向の姿勢を持つポール・アトキンス氏が新委員長に就任したことは、業界全体にとって明確な追い風となっています。
この政権交代を契機に、暗号資産取引所やウォレット業者に対する過度な締め付けが緩和されつつあり、グローバルプレイヤーたちは再び米国市場にチャンスを見出し始めているのが現状です。OKXも、過去の違反に対する多額の和解金を支払い、透明性・信頼性を武器に再スタートを切ることで、米国市場での長期的な足場を築こうとしていると見ることができます。
また、同社が打ち出す「段階的な再参入」戦略は、トランプ政権下での規制の変化を柔軟に取り込む姿勢を示しており、これまでのように法的リスクを最小限に抑えつつ、機関投資家を含む新たな顧客層の取り込みを狙っていることが明白です。
さらに、証券取引委員会(SEC)による複数の暗号資産企業への訴訟取り下げは、今後の米国市場における成長余地の大きさを裏付けるものです。こうした環境下でのOKXの再参入は、単なる復帰ではなく、米国を拠点としたWeb3グローバル戦略の第二章の幕開けとも言えるでしょう。
今後、他のグローバル取引所も同様に、米国市場への本格展開や再参入を模索する動きが続く可能性があり、トランプ政権下の政策がこのトレンドを一層後押しする展開となりそうです。OKXのケースはその先駆けとして、非常に象徴的な事例であると評価できます。