
OKXがDEXを新セキュリティ体制で再始動、EU当局の監視強化を受け対策強化

暗号資産取引所OKXは、EU規制当局からの圧力を受け、分散型取引所(DEX)アグリゲーターを再始動する計画を発表した。今回の再始動では、リアルタイムで不正行為を検出・遮断する新たなセキュリティシステムを導入する。
Bybit史上最大のハッキング事件が背景に
2024年2月、暗号資産取引所Bybitで過去最大規模となる約14億ドル相当のイーサリアム(ETH)とステーキングETH(stETH)の流出事件が発生。この事件は北朝鮮系ハッカー集団「ラザルス・グループ」によるものとされ、業界に大きな衝撃を与えた。
BybitのCEOであるベン・ジャオ氏によれば、ハッキングで盗まれたETHのうち1億ドル以上がOKXのWeb3プロキシを経由して移動されたとされており、追跡不能な資産は約6,500万ドルにのぼるという。
一時停止から約2か月、再開へ
この事件を受けて、OKXは3月にDEXアグリゲーターの一時停止を決定。欧州連合(EU)の規制当局との協議を経ての措置だった。
そして5月、OKXのCEOスター・シュー氏がX(旧Twitter)で新体制による再始動を発表し、以下のように説明した。
「OKX Web3はブロックチェーンのためのChromeであり検索エンジン。チェーン上のリアルタイムデータを解析し、顧客が複数のチェーンの資産を管理し、数百万のDAppsと安全に接続できるようにする」
今回のアップグレードにより、オンチェーン不正のリアルタイム検知と遮断が可能になる仕組みが導入されるとしており、規制リスクとセキュリティリスクの両面に対応する狙いがある。
EU規制当局の動向も依然注目
Bloombergの報道によれば、欧州の仮想通貨規制当局は3月時点でOKXに対する調査を進めていたとされる。今回の新セキュリティ体制の導入は、こうした規制環境への対応という側面も大きい。
今後の再開スケジュールや実際の不正対策の効果、そしてDEXアグリゲーター市場への影響にも注目が集まる。
GENAIの見解

このニュースは、分散型金融(DeFi)領域におけるセキュリティと規制対応の重要性が改めて浮き彫りになった事例だと考えます。
特にOKXのような大手取引所がDEXアグリゲーターの一時停止を選び、その後にリアルタイムの不正検知・遮断機能を備えて再始動するという判断は、業界全体にとって前向きな流れであると思います。
DeFiの利便性と革新性は評価されつつも、依然としてマネーロンダリングや国家的サイバー攻撃の温床になり得るリスクが残っています。今回のように、北朝鮮系とされるラザルス・グループが大規模ハッキングに関与し、その資金の一部がOKXのWeb3インフラを通じて移動されたという事実は、業界関係者にとって非常に深刻な警鐘です。
また、欧州連合(EU)の規制当局がOKXに注目していることも重要です。今後、MiCA(暗号資産市場規制)の施行を控え、EUはDeFi関連サービスにもより厳格な透明性と監視体制を求めてくるでしょう。OKXがそれを先取りして、再始動前に自らセキュリティ強化策を講じたことは、グローバルでの信頼維持に向けた戦略的判断だと評価できます。
今後は、こうしたリアルタイム監視システムがDeFiの標準になる可能性があり、業界全体で「使いやすさ」だけでなく「守りの強さ」をどう両立させるかが問われる時代に入っていくと思われます。OKXの取り組みは、他のDEXや取引所にとっても良いベンチマークになるのではないでしょうか。