
トランプ家DeFiプロジェクトに2500万ドルの大型投資──ドバイのDWF Labsがガバナンスに参画する意向

米大統領ドナルド・トランプ氏が家族と共に支援するDeFiプロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」に対し、ドバイ拠点の投資会社DWF Labsが2500万ドル相当のトークンを購入したことが明らかになった。
今回の取引は「戦略的な非公開取引」として行われたもので、DWF LabsがEthereumベースのネイティブトークン「WLFI」のガバナンスに参画する意向があることを示すものとされる。
DWF LabsがWLFIに参加──新ステーブルコイン「USD1」への流動性提供も
DWF Labsは、トランプ家のDeFiプロジェクト「World Liberty Financial」へのコミットメントの一環として、新たに立ち上げられたステーブルコイン「USD1」への流動性供給も行う予定であると発表した。
このUSD1は、2025年3月にローンチされたばかりのドル連動型トークンであり、機関投資家向けに設計されたステーブルコインとして注目されている。
DWF Labsは声明で「今回のWLFI取得は、リアルな金融課題を解決するDeFiプロジェクトに注目している我々の姿勢を示すものであり、USD1のような機関対応型ステーブルコインの需要増加がその証左である」と述べている。
World Liberty Financialの共同創業者ザック・フォークマン氏も「暗号資産は今後、世界の金融を大きく変革・改善すると信じており、USD1のようなステーブルコインはDeFiインフラの根幹をなす存在となる」と語った。
トランプ政権と暗号資産──ビットコイン準備金やソラナミームコインも
ドナルド・トランプ氏は大統領選挙時から暗号資産業界支援を掲げており、政権発足前にはソラナベースのミームコイン「Official Trump」をローンチ。就任後には、戦略的ビットコイン準備金の創設を命じる大統領令に署名し、暗号資産関連法案を成立させた最初の米大統領となった。
さらに、息子のエリック・トランプ氏がWorld Liberty Financialの立ち上げを発表するなど、トランプ一族が複数の暗号資産事業に関与していることも話題を呼んでいる。
一方で、エリザベス・ウォーレン上院議員やマキシン・ウォーターズ下院議員などからは、「公職の立場を利用した利益誘導ではないか」との批判も出ており、政治と暗号資産の関係が今後さらに問われることになりそうだ。
GENAIの見解

まず、DWF Labsのようなグローバルに活動するマーケットメーカーがこのタイミングで大規模なトークン購入を決定した背景には、WLFIが単なる“話題性の高いプロジェクト”ではなく、実際にDeFiインフラとしての役割を果たそうとしている点があると思われます。
とりわけ、新たなドル連動型ステーブルコイン「USD1」への流動性提供を含む戦略的関与は、金融インフラとしての成熟性を高める一歩と言えるでしょう。
一方で、このプロジェクトの立ち上げと拡大にはトランプ大統領およびその家族が深く関与していることから、政治的リスクや利益相反の問題も浮上する可能性があります。これは、規制当局からの監視強化や、対立する政治勢力からの批判を招く火種にもなりかねません。特に、米国では暗号資産と政治資金の透明性について厳しい目が向けられている中で、今後の対応が注目されます。
ただ、トランプ氏が大統領令で国家ビットコイン準備金を設置し、暗号資産関連法案に署名した初の大統領であることを踏まえると、米国の暗号資産政策における方向性に大きな影響力を持っている人物であることは否定できません。今後、彼の影響下にあるプロジェクトが市場にどのような実効性を持って貢献していくかは、DeFi業界全体にとっても試金石になるでしょう。
結論として、今回の投資は「話題先行」では終わらない可能性を秘めた動きです。
政治、資本、テクノロジーが交差するWLFIの今後の展開は、単なる一企業のプロジェクトという枠を超え、暗号資産業界全体の構造を揺るがす可能性すらあると見ています。しばらくは注視が必要な案件です。