米SEC新議長が暗号資産市場に前向き姿勢「大きな恩恵を期待」、規制方針に転換の兆し

米証券取引委員会（SEC）の新議長ポール・アトキンス氏が、暗号資産（仮想通貨）に対する大幅な方針転換を示唆した。今週就任したばかりのアトキンス氏は、規制当局主催の「第3回クリプト・タスクフォース・ラウンドテーブル」に登壇し、デジタル資産の持つ革新性と可能性を強調した。

旧体制を批判、新たな規制アプローチを示唆

アトキンス氏はスピーチの中で、「起業家たちがブロックチェーン技術を活用して金融システムを近代化しようとしている。私は、効率化、コスト削減、透明性向上、リスク軽減など、市場革新による大きな恩恵を期待している」と語った。

また、過去数年間にSECが生み出した「市場と規制の不確実性」がイノベーションを抑制してきたことを厳しく批判した。

ゲイリー・ゲンスラー前議長との大きな違い

この発言は、前任のゲイリー・ゲンスラー氏の方針と明確な対照をなしている。ゲンスラー氏の下では、バイナンス、クラーケン、コインベース、リップルラボ、ユニスワップラボ、コンセンシスなど、多数の大手暗号資産企業に対する強制執行が行われた。

しかし、ゲンスラー氏が1月に退任して以降、これらの訴訟案件はすべて終了している。

仮想通貨業界に意見求める柔軟姿勢

アトキンス氏はまた、仮想通貨市場関係者に対して、現行の証券法の課題について意見を求めた。

「取引所法、投資顧問法、投資会社法におけるカストディ規則は、暗号資産やブロックチェーン技術に対応できているか」「特別目的ブローカーディーラー（SPBD）制度は実用的か、それとも新たな枠組みが必要か」といった具体的な論点を挙げ、市場の現状に即した規制改革の必要性を示唆した。

米国暗号資産市場に新時代到来か

今回の発言は、SECが暗号資産に対してより建設的かつ前向きなアプローチを取る可能性を示すものであり、米国の暗号資産市場にとって新たな追い風となる可能性がある。

今後、具体的な規制緩和や新たなルール作りにどのように取り組むかに注目が集まる。

特に、「市場の不確実性がイノベーションを抑制してきた」と明言したことは、これまでゲイリー・ゲンスラー前議長のもとで感じられていた過度な規制リスクが緩和される期待を強めます。

アトキンス氏が、既存の証券法が暗号資産やブロックチェーン技術に適合しているかを問いかけ、具体的な制度見直しに言及した点も非常に前向きだと評価できます。これは単なる規制緩和ではなく、現実に即した「新しいルール作り」を意図している姿勢の表れであり、業界側の声を積極的に取り入れようとしている点が特に重要です。

一方で、まだ具体的な政策変更や新制度の詳細は発表されていないため、現時点では市場の期待感先行という側面もあります。今後、アトキンス氏がどのような具体策を講じるのか、また議会や他の規制当局との調整をどう進めるかが鍵となるでしょう。

総じて、今回の発言はアメリカ国内における暗号資産市場の成長を後押しする追い風となる可能性が高く、国際的にも米国の競争力回復に寄与する動きとして注目すべきだと見ています。今後の具体的な展開に強い期待を持っています。