
「USDC」のCircleがアブダビで規制承認獲得、中東展開を本格加速

ステーブルコイン「USDC」の発行元であるサークル(Circle)は、アブダビ金融市場(ADGM)の規制当局より事業認可に向けた「原則承認(IPA)」を取得したと発表した。これにより、サークルは中東地域での本格的な規制準拠サービス展開に一歩近づいた。
アブダビでの正式ライセンス取得を目指す
今回の原則承認は、アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)の金融サービス規制機関(FSRA)から与えられたもので、サークルは今後、正式な「金融サービス許可(FSP)」ライセンスを取得することで、アラブ首長国連邦(UAE)において法的に認可されたマネーサービス事業者として活動できるようになる。
CEOのジェレミー・アレール氏は「今回の承認は、オンチェーン経済を受け入れる市場との関係強化において重要な前進であり、グローバルなステーブルコインの信頼性・準拠性・普及促進を示すものだ」と述べている。
地元スタートアップ拠点「Hub71」と提携
サークルはまた、アブダビの技術スタートアップ支援拠点「Hub71」との提携も発表。今後はADGM内のデジタル規制サンドボックス内で共同プロジェクトを進めるほか、Hub71のデジタル資産グループにも参加し、同拠点に集まる500以上のテックスタートアップや投資家と知見を共有する予定である。
グローバルで進むUSDCの採用拡大
現在、サークルのUSDCは時価総額で世界第2位のステーブルコインであり、発行残高は620億ドル超に達する。
2024年にはEUの暗号資産規制「MiCA」に初めて準拠したステーブルコイン発行体として承認され、日本でもSBIグループとの提携により、USDCの国内取引が2025年3月に開始された。
UAE、Web3ハブとしての地位確立を目指す
UAEは近年、積極的な規制整備と国際的な提携を通じて、Web3の国際ハブとしての地位を築こうとしている。
2024年には暗号資産導入指数で世界第3位にランクインし、2025年にはドバイの不動産・暗号資産規制機関が不動産トークン化に関する新たな協定を結ぶなど、革新的な取り組みが進行中である。
GENAIの見解

サークルがアブダビで規制当局から原則承認を取得したことは、ステーブルコイン市場とオンチェーン経済の国際展開において極めて重要な一手だと考えます。
まず、アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)は、法整備と規制体制が非常に整った金融ハブとして国際的にも評価されています。そのような場所で正式な金融サービスライセンスに近づいたということは、サークルにとって中東市場進出の強力な足がかりとなるだけでなく、USDC自体の信頼性向上にも直結すると言えるでしょう。
特に、現在世界的にステーブルコイン規制が本格化しつつある中で、サークルがEUのMiCA準拠、日本でのSBIとの提携、そして今回のアブダビ進出と着実にグローバル展開を進めている点は非常に戦略的です。単に市場を広げるだけでなく、「コンプライアンス重視の安定型デジタル通貨」というポジションを確立しようとしていることが伺えます。
一方で、UAE全体がWeb3ハブ化を目指している背景も追い風になっています。アブダビやドバイといった地域が積極的に暗号資産の社会実装を進めている今、サークルのような規制遵守型のプレイヤーが早期にポジションを取ることは、中長期的に見ても非常に賢明な動きだと評価できます。
総じて、サークルの今回の動きは、ステーブルコイン市場における信頼性向上と地域分散を同時に推進するものであり、グローバルなデジタル資産インフラ構築において極めて前向きな進展だと見ています。今後の正式ライセンス取得とサービス展開にも大いに期待しています。