
テザーの第1四半期利益は10億ドル超、前年から減少も堅調を維持

米国債保有は約1,200億ドルに拡大
ステーブルコイン最大手のテザーは、2025年第1四半期の利益が10億ドル超となったと発表した。ただし、この数字は前年同期の45億ドルという記録的な利益から大きく減少している。
同社が5月2日に発表したアテステーション(証明報告)によると、今期の利益の大部分は米国債から得た利回りによるものである。具体的な利益額についてはプレスリリースには記載されていない。
ビットコインの値動きが利益減の要因に
2024年の第1四半期には、テザーは45億2,000万ドルの利益を計上していた。このうち約10億ドルは米国債からの収益によるもので、残りは同社が保有するビットコインおよび金の価格上昇による評価益だった。
一方、2025年第1四半期は、ビットコイン価格が約12%下落したことが利益減少の主要因とみられる。テザーは現在、準備資産の約5%(77億ドル相当)をビットコインで保有している。なお、第1四半期終了後にはビットコインが価格を回復し、記事執筆時点では97,000ドル前後で推移している。
テザーの準備資産構成と米国での今後
現在、テザーの準備資産の66%は米国債で構成されており、直接保有に加え、マネーマーケットファンドやリバースレポ契約を通じた間接的な保有も含めると、総額で1,200億ドル近くに達するという。
2024年通期の利益は130億ドルで、ウォール街の大手金融機関ゴールドマンサックスに匹敵する規模となっている。
今後の焦点は、テザーが米国市場への本格進出を目指す中で、準備資産の監査体制をいかに整備するかにある。CEOのパオロ・アルドイーノ氏は、現在「ビッグ4」と呼ばれる大手会計事務所と正式な監査実施について協議していることを明かしている。
議会では、外国のステーブルコイン発行体に対し、厳格な準備資産の監査を義務づける法案が審議中であり、仮に成立した場合、USDTは米国で登録を避け、代わりに米国向けに別のステーブルコインを発行する方針だという。
GENAIの見解

このニュースは、テザーが依然として高い収益力を維持している一方で、仮想通貨市場のボラティリティや資産構成の変化が業績に直結することを改めて示すものだと考えます。
まず、2025年第1四半期の利益が前年同期の約4分の1となる約10億ドルに減少した背景には、ビットコインの価格下落が大きく影響しています。テザーは準備資産の一部としてビットコインを保有しており、その時価評価の変動が業績に反映されやすい構造になっています。この点は、ステーブルコイン発行企業としてのリスクマネジメントのあり方を再考させられる要素です。
とはいえ、テザーの収益構造は依然として非常に強固です。特に、米国債を中心とした準備資産から安定的な利回りを確保できており、これは今後の金利環境が維持される限り強力な収益源となるでしょう。約1,200億ドル相当の米国債保有は、他のステーブルコイン発行体と比較しても圧倒的です。
また、今後注目すべきは、米国市場向けのステーブルコイン発行を視野に入れた動きです。米国での規制強化を受け、USDTをそのまま登録するのではなく、新たな“米国特化型”ステーブルコインを用意するという方針は、非常に現実的かつ戦略的な判断だと評価できます。
総じて、テザーは依然としてステーブルコイン市場での優位性を維持しており、収益基盤も堅調ですが、今後は規制対応と市場の価格変動リスクへの備えが重要な経営課題となるでしょう。