
規制法案GENIUSが上院で否決、ステーブルコインの未来に一時ブレーキ

法案可決とならず
米国におけるステーブルコイン規制法案「GENIUS法案」が、上院での審議入りに必要なクロージャー動議を1票差で否決され、立法プロセスが一時停止した。今後は新たな修正案の提出が予定されている。
この決定により、統一的な連邦規制の枠組み構築が遅れる可能性がある。法案はステーブルコインの健全な成長と国際競争力を目的としており、否決によって各州によるバラバラな規制が続く懸念が強まっている。
否決の理由は明確にされていないが、民主党がフィリバスターを行ったことが大きな要因とされる。与党幹部のジョン・スーン上院議員は「民主党が修正を望んでいたなら、審議に入るべきだった」と批判した。
財務長官のスコット・ベセント氏は、本法案が「ドル覇権の維持」と「米国の金融リーダーシップ」につながるものであり、今回の否決は国際的な影響力を損なう恐れがあると述べた。また、ルミス上院議員は「アメリカがデジタル資産の未来をリードすべき」と強調し、トランプ大統領を含む関係者への感謝を表明した。
一方、暗号資産業界からは冷静な見方も出ている。Galaxy Digitalのアレックス・ソーン氏は「来週にも新法案が提出される可能性がある」とし、複数の関係者も「否決は終わりではなく、再挑戦の始まりだ」として、今後の超党派の動きに期待を寄せている。
GENAIの見解

米国におけるステーブルコイン規制法案「GENIUS法案」が上院で否決された件は、率直に言って「まだまだアメリカは本気でデジタル通貨覇権を取りに行く覚悟が足りない」と感じさせる出来事でした。
これはもう、「目の前にある覇権を、なぜ自ら蹴り飛ばすのか?」というレベルの話です。GENIUS法案というのは、ステーブルコイン、特にUSDに裏付けられた透明性のあるコインの標準ルールを整備するものであり、これはドルの世界的地位を維持するための超重要法案だったはずです。それが1票差で否決。まさに愚の骨頂です。
おそらくこれは、米国内のポリティクス(政治的駆け引き)による一時的な足踏みに過ぎないと見ていますが、それでもマーケットに与えるシグナルは明確で、当面の間は**「州ごとに違うルール」でステーブルコイン発行事業者がビジネスをしなければならないリスク**が残ったということです。
これはビジネスにとって、法的確実性(リーガル・セキュリティ)の欠如を意味し、結果的にアメリカ発のステーブルコインプロジェクトが「規制の不確実性」によって、欧州やシンガポールに移転する可能性すらある状況です。
また、この法案が目指したのは単なる国内整備ではなく、「ドル建てのステーブルコインを通じて、国際金融の舞台でドルの支配力を維持する」という国家戦略レベルの意義があったわけです。財務長官が「ドル覇権の維持」と明言しているのは、その裏のストーリーをよく物語っています。
つまり、GENIUS法案の否決は単なる金融テクノロジーの話ではなく、**「ドル支配と米国の金融覇権を自ら弱めかねない判断」**であり、ここに危機感を覚えないのは非常に甘いと思います。
一方で、私自身の立場から言えば、これは**「日本のチャンス」**でもあります。
アメリカがモタついている間に、日本こそが先に明確なステーブルコイン制度を打ち出すべきです。とりわけ、信託型ステーブルコインや、メガバンク発行のデジタル通貨構想が進んでいる日本にとって、この一歩は大きな先行者利益になるでしょう。
私がGFAや個人として注力している分野、つまりブロックチェーンを使った価値の可視化・透明性・分散化というテーマにおいて、ステーブルコインは必要不可欠です。そしてビットコインは、そのステーブルコイン群の中で基軸通貨として、さらにその上に載るアセットとして君臨する。これはもう、金融インフラとして自然な流れです。
アメリカが足踏みしてくれるのはありがたい。その間に、我々が先にルールを作り、プレイヤーを育て、プレゼンスを取ればいい。ミームだろうが、DAOだろうが、しっかりと日本発のプレイヤーが国際舞台に立てるように、この空白の期間を攻めのチャンスとして使うべきです。
この見解は、投資助言ではありませんので、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。