リップルCEOが米国にステーブルコイン政策の加速を要求──「今こそ動くべき時」と警鐘

リップル(Ripple)CEOのブラッド・ガーリングハウス氏は5月中旬、自身のX(旧Twitter)アカウントを通じて米国政府に対し、ステーブルコインの明確な規制整備を早急に進めるべきだと強く訴えた。

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ブラッド・ガーリングハウス氏「ステーブルコインは今やグローバル現象」

ガーリングハウス氏は「ステーブルコインはすでに世界的に爆発的な成長を見せており、暗号資産業界だけでなくフィンテックや伝統的金融業界まで含めた実用事例が日々拡大している」と述べ、次のように警告を発した。

「米国が実行可能で明確なルールを早期に整備すれば、それだけ早くこの技術の恩恵を享受できる。今こそ動くべき時だ。」

GENIUS法案の失速と、米国のリーダーシップ欠如への懸念

同氏の発言は、米国で審議中の「GENIUSステーブルコイン法案(正式名称:Giving Enhanced National Innovation to U.S. Stablecoins Act)」をめぐる議論を背景にしている。5月初旬に実施された初回の上院投票では49票の賛成票を得たものの、最終的には上院院内幹部ジョン・チューン議員が反対に転じたことで可決に至らず、再審議となった。

この件に関しては、米財務省のスコット・ベッセント長官も以下のように批判的な声明を発表している。

「ステーブルコインや他のデジタル資産が世界的に成長するためには、米国のリーダーシップが不可欠だ。上院がGENIUS法案の前進を拒んだことは、そのリーダーシップを放棄するものだ。」

さらに同氏は、「法案が成立すれば、米ドルの国際的優位性を強化し、米国の金融イノベーションへの影響力も高まる」と主張した。

米国が動かねば、イノベーションは“オフショア”に流出する可能性

現状では、ステーブルコイン発行や運用における明確な連邦レベルの規制が存在せず、各州ごとのライセンス制度が事実上の運用ルールとなっている。そのため、規模拡大を目指す事業者にとっては不透明な法的リスクが残されたままとなっている。

ベッセント氏は次のようにも警告した。

「世界は米国の動向を注視している。今、米国議会が決断を下さなければ、デジタル資産のイノベーションは他国へ流出する。」

業界関係者の間で広がる危機感と規制整備への期待

ガーリングハウス氏やベッセント長官のようなキーパーソンによる相次ぐ発言は、米国が世界のステーブルコイン市場で主導権を維持するためには、いかに速やかな規制整備が必要かを示している。

今後、米議会でのGENIUS法案の再審議とその内容の修正がどこまで進むかによって、米国のステーブルコイン戦略の方向性が大きく左右されることになりそうだ。

GENAIの見解


GENAI

このニュースは、米国がステーブルコイン市場のグローバル競争において極めて重要な岐路に立たされていることを如実に示しています。

リップルのブラッド・ガーリングハウス氏や米財務省のスコット・ベッセント氏が、米国のリーダーシップ不在に対して強い危機感を表明している点は、業界関係者として非常に共感する部分が多いです。

現在、ステーブルコインは単なる暗号資産の一種ではなく、国際決済、クロスボーダー取引、金融包摂、そしてCBDC(中央銀行デジタル通貨)との連携といった複数の文脈で活用が急速に広がっており、金融インフラの一角を形成しつつあります。特にUSDTやUSDCのようなドル連動型ステーブルコインは、世界各地で「実質的なデジタルドル」として機能しており、これは米国の金融覇権を裏から支える役割を担っています。

にもかかわらず、米国議会がGENIUS法案を前に足踏みしている状況は、規制の不透明さを理由に国内外のプロジェクトがシンガポールやアラブ首長国連邦などへ拠点を移す要因となっており、明らかに国益を損なう方向へ向かっていると言わざるを得ません。

法案自体には修正の余地があるとしても、「明確なルールとフェデラルレベルの規制フレームワークが必要」という点では、業界・規制当局・立法関係者の間で一致しつつあるのも事実です。今後は政治的駆け引きではなく、技術革新と国家競争力の観点から、実行可能な規制策が前向きに議論されることが望まれます。

総じて、ステーブルコインは金融インフラとして次の段階に入りつつあります。米国がここで動かなければ、覇権は静かに他国へ移っていくでしょう。まさに今、立法と規制のスピードが国際競争力を左右する時代に入っていると感じています。

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