
暗号資産取引プラットフォーム「eToro」がナスダック上場で急伸──初日で株価29%上昇

株式および暗号資産の取引プラットフォームであるeToroが、米ナスダック市場に上場し、初日の終値は67ドルと公開価格の52ドルから約29%上昇した。
初値から大幅上昇、IPOで3億1000万ドルを調達
今回のIPOでは600万株を販売し、約3億1000万ドルの資金を調達。現在の株価ベースで、同社の時価総額は約54億ドルに達している。
今回の上場は、暗号資産関連企業にとって市場環境が好転していることを反映したものでもある。イスラエル発のeToroは、Krakenやステーブルコイン発行企業Circleなどと並び、今年上場を目指している企業の一つであり、昨年までの厳しい規制ムードからの大きな転換点といえる。
eToroは、取引ごとのスプレッドに上乗せする手数料によって収益を得ており、プラットフォーム上での暗号資産の移動やウォレットサービスに関連する管理料なども収益源としている。
デジタル資産部門の急成長
米証券取引委員会(SEC)に提出された修正済み登録書類によると、2024年のデジタル資産関連の収益は124億ドルに達し、2023年の34億ドルから大幅に増加している。また、2024年末時点でeToroは1億1320万ドル相当の暗号資産を保有しており、前年の1億1470万ドルからわずかに減少した。
暗号資産との歩みとSECとの対立
ビットコイン提供は2013年から
eToroは2007年に設立され、2013年にはビットコイン取引を提供開始。2017年にはイーサリアムなど、その他の主要暗号資産も取り扱い対象に加えた。一時は米国内で70以上の暗号資産を提供していたが、2023年にSECと和解し、現在は米国での提供をビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュの3種類に限定している。
SECは、eToroが一部の暗号資産を未登録証券として取り扱ったとして、無登録ブローカーおよび清算機関としての業務を行っていたと非難。これに対し、eToro共同創業者でCEOのヨニ・アシア氏は、今回の対応は「当社のグローバルビジネスには最小限の影響しか与えない」とコメントしている。
ステーキングサービスも提供(ただし米国除く)
Coinbaseと同様、eToroのプラットフォームでは複数の暗号資産のステーキングサービスが利用可能だが、これは欧州など一部地域に限られ、米国では提供されていない。
また、2023年にはCoinbaseやBinanceに対するSECの訴訟を受け、Robinhoodを含む複数のプラットフォームが一時的に暗号資産の取引を停止した。SECが複数トークンを未登録証券と見なしたこれらの訴訟は、現在では取り下げられている。
GENAIの見解

eToroのように暗号資産と株式の両方を扱うハイブリッド型プラットフォームがナスダック上場を果たし、初日で時価総額54億ドルに到達した点は、投資家からの市場評価が非常に高いことを示しています。
eToroは2007年の設立以来、早くからビットコイン取引を導入し、2017年以降はイーサリアムなど主要な暗号資産も取り扱ってきました。その先見性と継続的なサービス強化により、現在では70カ国以上に展開し、数千万人規模のユーザーを抱えるまでに成長しています。このような実績が、今回のIPO成功につながったといえるでしょう。
また注目すべきは、2024年にはデジタル資産関連だけで124億ドルの収益を上げているという点です。これは単なる一時的なブームではなく、暗号資産がすでにeToroにとって中核的な収益源になっていることを意味します。
一方で、SECとの間で未登録証券問題が取り沙汰され、一部トークンの提供停止に追い込まれたことも事実です。ただし、こうした規制的な逆風に対してもeToroは迅速かつ柔軟に対応しており、グローバル展開にはほとんど影響を及ぼしていない点は評価に値します。
総じて、今回のeToroの上場成功は、暗号資産業界にとって「再び資本市場に信頼される環境が整いつつある」というシグナルを市場に与える重要なマイルストーンだと考えています。今後は他の暗号資産関連企業のIPOにも弾みがつく可能性があり、業界全体にとってポジティブな材料になるでしょう。