
SEC、Crypto.comへの調査を正式に終了 規制環境の軟化で仮想通貨業界に追い風

SECがCrypto.comに対する調査を正式に終了し、同取引所に対して一切の措置を講じないことが明らかになった。Crypto.comのCEOであるクリス・マルシャレク氏が3月27日、X(旧Twitter)への投稿で発表した。
マルシャレク氏は「彼ら(SEC)は私たちを抑え込むためにあらゆる手段を駆使し、銀行、監査人、投資家へのアクセスを制限した。業界を終わらせるための計画的な試みだった」と述べたうえで、「しかし私たちは耐え抜き、より強くなった。これは私たちのビジョンと、それを支えるコミュニティの証だ」と自信を示した。
今回の発表は、SECが2023年8月にCrypto.comに対してウェルズ通知(Wells Notice)を発行してから7カ月後の決定であり、同取引所に対する法的措置を取る意向を示していたことが背景にある。
Crypto.com、SECの調査終了で規制リスク回避
Crypto.comのチーフ・リーガル・オフィサーであるニック・ルンドグレン氏は、3月27日の声明で「現在のSEC指導部がCrypto.comに対する調査を終了する決定を下したことを歓迎する」と述べた。同氏はさらに、ゲイリー・ゲンスラー前委員長率いるSECが「権限を乱用し、仮想通貨業界を傷つけようとした」と批判している。
Crypto.comは、ウェルズ通知の2カ月後にあたる2023年10月、SECに対して権限超過と仮想通貨規制への誤ったアプローチを理由に訴訟を提起していた。
SEC、過去の執行措置を次々と取り下げ
Crypto.comへの調査終了は、ここ5週間でSECが他の仮想通貨関連企業に対する調査や訴訟を相次いで取り下げた一連の動きに続くものである。この動きは、**コインベース(Coinbase)、コンセンシス(Consensys)、ロビンフッド(Robinhood)、ジェミニ(Gemini)、ユニスワップ(Uniswap)、オープンシー(OpenSea)、イミュータブル(Immutable)**といった著名企業にも及んでいる。
3月27日には、SECが仮想通貨取引企業Cumberland DRWに対する民事執行措置も「偏見なしでの却下(dismissed with prejudice)」として取り下げた。
SECは、2024年1月20日にマーク・ウイエダ氏が暫定委員長に就任して以降、仮想通貨業界に対してより柔軟な姿勢を示している。ウイエダ氏のもとで、SECは仮想通貨タスクフォース(Crypto Task Force)を立ち上げ、ヘスター・ピアースSEC委員が指揮を執っている。
SEC、仮想通貨規制への姿勢を軟化
ウイエダ氏の指導の下、SECは1月23日に仮想通貨を保有する金融機関に対し、それらをバランスシート上で負債として計上するよう求める物議を醸した規則を取り消した。
さらに、ドナルド・トランプ前大統領のSEC委員長候補であるポール・アトキンス氏が次期委員長の座に近づいていると報じられており、今後のSECの仮想通貨規制方針はさらに軟化する可能性がある。
Crypto.com、トランプメディアとの提携も発表
Crypto.comは、3月24日にトランプメディア(Trump Media)との提携も発表し、今年後半に「Made in America」テーマの上場投資信託(ETF)を立ち上げる予定である。このETFには、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、XRP、クロノス(Cronos)などの仮想通貨が含まれる可能性がある。
Crypto.comは、これらのETF向けにインフラおよびカストディ(保管)サービスを提供する予定であり、仮想通貨市場における存在感をさらに強化していく方針だ。
今回のSECによる調査終了と、トランプメディアとの新たな提携は、Crypto.comにとって規制リスクの軽減と新たな成長機会の拡大を意味しており、今後の動向が大いに注目される。
GENAIの見解

SEC(米証券取引委員会)がCrypto.comに対する調査を終了し、一切の法的措置を取らないという決定は、米国の仮想通貨規制がより柔軟で建設的な方向に進んでいることを示唆しています。
Crypto.comは2023年8月にウェルズ通知を受け、2カ月後の10月にはSECを相手取って「権限超過」と「誤った規制アプローチ」を理由に訴訟を提起しました。当時のSECは、ゲイリー・ゲンスラー前委員長の指導のもと、仮想通貨業界に対して非常に強硬な姿勢を取っており、CoinbaseやUniswap、OpenSeaなど、複数の大手プロジェクトが同様の圧力を受けていました。
しかし、2024年1月にマーク・ウイエダ氏が暫定委員長に就任してからは、SECの姿勢が明らかに軟化しています。ウイエダ氏は仮想通貨タスクフォースを立ち上げ、ヘスター・ピアースSEC委員のリーダーシップのもと、業界との対話を重視する方向に舵を切っています。
Crypto.comの調査終了は、この新しい方針の象徴的な出来事です。さらに、ここ5週間でSECはCoinbase、Consensys、Robinhood、Gemini、Uniswap、OpenSea、Immutableなど、他の主要プロジェクトに対する調査や訴訟を相次いで取り下げています。
この動きは、米国が仮想通貨市場に対してより親和的な姿勢を示していることを示唆しており、グローバルな仮想通貨業界にとっても大きな安心材料です。特に、ドナルド・トランプ前大統領が再選を果たし、「ビットコインの覇権国を目指す」という方針を掲げていることも、米国の仮想通貨市場に追い風となっています。
さらに注目すべき点は、Crypto.comがトランプメディアと提携して「Made in America」テーマのETFを立ち上げる予定であることです。この動きは、仮想通貨を従来の金融市場に統合し、より多くの投資家にアクセスを提供することにつながります。
ただし、規制環境が完全に安定したわけではない点には注意が必要です。米国の仮想通貨規制は依然として進化の途上であり、今後の政権交代や政策の変化によって、再び厳しい規制環境に戻る可能性もあります。そのため、業界関係者は、引き続き規制動向を慎重に注視する必要があります。
総じて、Crypto.comの調査終了とSECの方針転換は、仮想通貨市場の成長にとって大きな追い風であり、今後の規制緩和や新たな市場機会の創出につながる可能性が高いと考えています。この流れが続けば、米国市場への機関投資家の参入も加速し、仮想通貨業界全体の成熟がさらに進むことが期待できます。